フレンズ便り 第34号 2008年4月 「サークル・フレンズ」

 
 平成19年度の活動報告と20年度の課題

 みなさまのご支援のおかげで平成19年度も新たな成果を得て終了することができました。1年間の反省も含めて活動報告をさせていただきます。

<19年度の活動報告>
1.瀬戸市補助金事業について(予算額42.5万円、決算額37.2万円)
  受託テーマ「高次脳機能障害の啓発活動による支援ネットワークづくり」
  1)支援ネットワークの拡充と充実
   イ)瀬戸保健所主催で講演会実施(20年2月、110名参加)
   ロ)愛知県内の当事者団体5団体で
     (仮称)「愛知脳損傷協会」設立準備会を発足(20年2月)
   ハ)愛知県内の関連団体で「海外事例特別講演会」を開催(19年7月、300人参加)
   二)アドバイザーとして愛知県立大学・吉川雅博先生にご担当いただくことになった
  2)自立支援法のサービス利用開始
   イ)障害程度区分の認定を受ける(2名)
     1名は「移動支援サービス」を19年10月より利用
   ロ)「フレンズ・ハウス」への訪問サービスは実施せず
  3)外部講演会、研修会への参加
    「三重県地域支援セミナー」
    「脳外傷全国大会in滋賀」
    「命の講演会V」(岐阜市)
    「なるほど!なっとく!高次脳機能障害」(NPO法人笑い太鼓主催)
2.活動拠点「フレンズ・ハウス」での活動
  1)当事者リハビリとしての軽作業の取り組み(週3回)
  2)第5回わいわいフレンズ祭り開催(19年9月)
  3)家族勉強会を開催(年6回)
  4)地域に開かれたパソコンサークルの継続(月2回)

<20年度の課題>
1.瀬戸市補助金事業の活動(3年目、事業申請額21万円)
  1)支援ネットワークの拡充と充実
    受託テーマ「高次脳機能障害の啓発活動による支援ネットワークづくり」
  2)「愛知脳損傷協会」の目的、活動方針の検討と
    当事者に必要なサービスメニューの研究、マニュアル作りへの取り組み
  3)外部講演会、研修会への参加と近隣地域とのネットワーク作り
2.活動拠点「フレンズ・ハウス」での活動
  1)当事者リハビリのための軽作業の取り組み(継続)
  2)第6回わいわいフレンズ祭り開催(20年9月予定)
  3)家族勉強会を開催(継続)
  4)地域に開かれたパソコンサークルの充実(継続)

 講演会「高次脳機能障害とは何だろう」の報告

〜瀬戸保健所主催の講演会は大きな反響がありました〜

 平成20年2月15日に瀬戸保健所主催の講演会が「やすらぎ会館」の大集会室で開催されました。講師は岐阜医療科学大学教授の阿部順子先生で、テーマは「高次脳機能障害とは何だろう〜その理解と支援のために〜」でした。
 サークル・フレンズは当初より全面的な協力をし、この地区としては過去最大の参加者数(110名余り)で大きな反響を呼ぶ事ができました。今回は特に保健所圏域である病院・医療機関の方々に参加いただきました。また「サークル・フレンズ」から高次脳機能障害の理解を深めていただくため「Q&A脳外傷」(明石書店)を行政関係や病院などに贈呈させていただきました。
 講演の内容は、高次脳機能障害の特徴とその介助・援助の仕方について、また家族支援・地域生活支援・在宅サービス活用などの事例や課題でした。  (事務局)

<参加者の感想>
★当事者家族であり障害者ヘルパーの私は精神障害者や軽度発達障害者との比較に大変興味をもちました。今後高次脳機能障害者が社会資源を利用していくためには他の障害を理解しそれと同時に高次脳機能障害を理解してもらうことが大事だと思います。本人家族はもちろんですがそれ以上に他の障害者やその人を支えている支援者の方々に是非聞いていただきたい内容だと思いました。(M)

★具体的な対応事例を混ぜながら話していただけたので参考になりました。ただ、話の対象者が軽度・中度(就労可能)の方たちで、重度のものからすると内容がかけ離れていると感じられました。対象者も少ないので仕方ないのですが、重度者へのお話も機会がありましたらお願いいたします。(A)

★数年間福祉に携わってきましたが、高次脳機能障害者の人と接する機会は数回しかありませんでした。他障害とくらべ支援体制が整っていないことが原因だと思います。既存の事業所にお願いするためにも障害の枠をとりはずした合同勉強会や交流が必要だと感じました。(H)


 「愛知脳損傷協会」準備会に期待する

 平成20年2月に愛知県の高次脳機能障害5団体で「愛知脳損傷協会」準備会が発足しました。準備会は今後「協会」の目的・活動方針・規約・取組みテーマなどを順次決めていく予定です。準備会での決定事項はなどは順次お知らせしてまいりますので、皆様のご支援・ご協力をよろしくお願いいたします。
 発足早々当事者団体(4団体)が参加している愛知県の「支援普及事業相談支援体制連絡調整委員会」が開催されるにあたり、共同要望書を提出することができました。これも当事者団体結束のたまものです。以下要望事項の概要です。

1.行政・支援者・福祉関係者・医療等従事者への周知を図って欲しい。
2.年金申請用診断書を精神科以外でも作成可能なツールを作り実施して欲しい。
3.保健所圏域で、病院・リハ科・精神科等がネットワークを組みその活動が有機的にできるように支援コーディネーターを配置して欲しい。
4.高次脳機能障害者の実態調査・追跡調査を実施して欲しい。
5.精神科医師会等に高次脳機能障害の普及研修を実施して欲しい。

以上の要望事項について各委員より今後の対応や見解が述べられ大変有意義な委員会でした。

 愛知県立大学でゲストスピーカーをつとめて

 去る1月25日、「サークル・フレンズ」のアドバイザー吉川雅博先生からの依頼で、愛知県立大学福祉学科の学生さんに高次脳機能障害のお話をさせていただきました。当日は成瀬・豊田の2名が受傷により生活が一変し大変な様子や高次脳機能障害で社会復帰できない現状をお話しました。またDVDを利用して事例紹介もしました。

<学生さんからの感想から抜粋>
★高次脳機能障害について言葉はきいたことがあってもどのような障害なのか知らなかった。
★”脳の障害”ということで知的障害のようなものだと間違って認識をもっていた。
★ビデオを見たとき、最初は演技をしているのではないかと疑ってしまった。それくらい健常者と違いがなかった。
★外見では分からない障害の場合、障害があるとは思われずに誤解を受けることが多いと思った。
★今まで築き上げてきたものが一つの事故で崩れてしまうというのは受け入れがたい事だと思う。でもそれを受け入れて前に進んでいかなくてはならない家族の葛藤を感じた。
★少しでも多くの人が障害を理解することで社会環境は変わると思った。
★もし突然障害者になったら?そn現実を受け入れ納得するのにどれだけの思いをするだろうかと思うと胸が苦しい。その苦しみを取り除くことはできなくてもせめてやわらげたいと思う。何か具体的な支援制度を作ったりより身近な支援を行なうなど方法はたくさんありそれが私たちの仕事であると考える。

 これらの感想を元にその後、「サークル・フレンズ」の勉強会で『学生さんのレポートを読んだ家族の感想』をテーマに話し合いました。

<家族の感想の抜粋>
★福祉を学ぶ学生さんに高次脳機能障害を理解してもらえたことは大変うれしい。
★高次脳機能障害という言葉は聞いた事があってもどのような障害か知らない学生さんが多いのに驚くとともに一般社会においてはほとんど』理解されていないだろうと改めて感じた。
★「家族の悲痛な胸のうちを聞いて、「自分の家族が苦しむのは嫌だ」と強く思い気をつけようと思った』と書いてくれたことは嬉しい。
★『命を救うだけでなくその後の生活に対しても支援していくことが必要だと思う』という感想は心強かった。
★行政の不備を理解してくださった。
★学生時代たった1ヶ月の年金未納のため障害年金を受けられない問題に関心を示してもらえたことはよかった。
★『支援に必要なのは優しい心をもった人間である』この言葉は当事者の想いと同じである。

 福祉を志す学生さんの若い感性あるレポートに当事者家族は心打たれるものが多々あり、活発な意見が家族からも聞けました。学生さんたちにはこれからを託す福祉のエキスパートとして成長されることを心より願うものです。

 サポートセンター開所のお知らせ

 三河地区で活動中のNPO法人「笑い太鼓」さんが、名古屋地区で高次脳機能障害者のための地域活動支援事業を開始されます。

 場所:名古屋市東区東大曽根
 利用時間:月曜日〜金曜日 午前10時〜午後4時15分

 申し込み:TEL 090−6762−1906(加藤)
           090−9172−7175(竹内)

「フレンズ便り」一覧に戻る