フレンズ便り 第39号 2009年4月 「サークル・フレンズ」

 
 平成20年度の活動報告と21年度の課題

 皆様のご支援のおかげで、平成20年度も新たな成果を得て終了する事が出来ました。1年間の反省も含めて、活動報告をさせていただきます。

<平成20年度の活動報告>
1、瀬戸市市民活動促進補助金事業について
  受託テーマ「高次脳機能障害の啓発活動による支援ネットワークづくり」
1−1.支援ネットワークの拡充
 イ)「愛知脳損傷協会」設立準備委員会に参加(月1回)
 ロ)普及事業(愛知県)に関わる相談支援体制連絡調整委員会において、当事者団体が連携して要望書を提出
 ハ)「サークル・フレンズ」主催の講演会開催(123名参加)
 ニ)愛知県立大学吉川雅博先生(フレンズアドバイザー)による家族勉強会等を開催(年5回)
 ホ)家族による講師などの普及活動や相談支援(10回以上)
  
1−2.「愛知脳損傷協会」における自前サービスの研究と実現に向けた検討参加
 イ)「愛知脳損傷協会」設立準備委員会主催のオーストラリア研修報告会を開催(20年7月)
 ロ)作業所連絡会において高次脳機能障害者の事例研究及び生活支援の研修(月1回)

1−3.外部講習会、研修会等への参加
 イ)堺脳損傷協会(大阪府堺市)主催の「地域支援ネットワークシンポジウム」に参加、地域支援の先進的取組みを研修する(20年10月) 
 ロ)サークルエコー主催「みんなで大いに語ろう会」に参加、障害者の住まいについて研修する(20年10月)
 ハ)国の高次脳機能障害施策・重度者施策を考えるためのヒヤリングに参加(21年1月:国リハ)
 コーディネーターの設置要請・精神科医への啓発・日中の居場所等について要望する
      
2、活動拠点「フレンズ・ハウス」での活動  
 1.当事者リハビリとしての軽作業の取り組み(週3回)
 2.第6回わいわいフレンズ祭り開催(20年9月)      
 3.地域に開かれたパソコンサークルの継続(月2回)
 4.親睦・野外活動(年6回)
  
<平成21年度の課題> 
1、支援活動                 
 1.高次脳機能障害者が利用できる「地域活動支援センター」の事業化を行政他と協議する
 *3年間の「高次脳機能障害の啓発活動による支援ネットワーク作り」の成果として行政の理解が得られた
 2.生活版ジョブコーチの養成事業に参加し行政や関連団体との連携を図る
 3.高次脳機能障害の啓発活動を継続的に行う
 *保健所圏域での広報活動・高次脳機能障害学習会などを開催する

2、活動拠点「フレンズ・ハウス」での活動
 1.当事者リハビリの為の軽作業などの取り組み(継続) 
 2.第7 回わいわいフレンズ祭り開催(21年6月6日予定) 
 3.家族勉強会を開催(継続)
 4.地域に開かれたパソコンサークルの充実(継続)
 〜講演会は多方面から大きな反響がありました〜

 平成20年2月1日、「サークル・フレンズ」主催の講演会を「やすらぎ会館」で開催しました。
講師は堺脳損傷協会(大阪府堺市)の納谷敦夫氏、
テーマは「高次脳機能障害と地域支援について」
〜親として・精神科医として〜でした。
今回の講演会は、3年間取り組んできた「高次脳機能障害の啓発活動による支援ネットワークづくり」(瀬戸市市民活動促進補助金事業)の集大成として行ったもので、当日は、瀬戸保健所、瀬戸市、尾張旭市、長久手町の行政・福祉関係者を始め、大勢の家族の皆様も参加して下さいました。(123名参加)
また講師の納谷敦夫氏は、当事者家族で精神科医、かつ元大阪府の福祉部長で、いろいろな角度からお話しをして頂き、多方面から大きな反響を頂くことが出来ました。
講演の内容と感想をフレンズアドバイザーの吉川雅博先生にまとめて頂きました。                        

<内容と感想>
 納谷敦夫先生は、精神科医と高次脳機能障害者の家族の両面をもっている方です。実体験に基づいた当事者ならではのお話に強い説得力を感じました。
また、専門的な内容をわかりやすく、かつ最新の情報も多くてとても勉強になりました。
 今回の講演の要点は以下の4点でした。
 1. 1999年の息子さんのバイク事故から始まる
   自己紹介
 2. 高次脳機能障害やその症状(意識障害、睡眠障害、自発性の低下、易疲労性、精神症状など)についての解説
   注意障害、記憶障害、遂行障害に対する具体的な認知リハビリテーションの紹介
 3.家族支援の必要性
 私が印象に残ったことをいくつか紹介します。
 一つ目は「精神科医への啓発」です。脳血管障害以外の原因による高次脳機能障害の症状のわかりにくさから、多くの精神科医が脳外傷などの高次脳機能障害を、脳血管障害を原因とする場合と同様であると誤解している現状があり、精神科医への啓発の重要性が指摘されていました。今後、精神科医が脳血管障害以外の原因による高次脳機能障害者をみることが一般的になり、その場合の手帳や年金診断は精神科医が主に担うことになるだろうと思います。現状を考えるとそうなるべきだと私は考えます。
 二つ目は「薬」です。薬の重要性はだれでも分かっていますが、薬についての話はあまり聞く機会がありません。今回、「薬は必要最小限」や「怒りの薬物療法の原則」などについての説明を聞き、初めて知ることばかりでしたが、同時に薬の難しさを再認識しました。
 三つ目は「家族支援」です。家族支援の重要さは私も実感していますし、興味関心のあるところでもあります。納谷先生は、息子さんが高次脳機能障害となって5年間は泣いていたと言われました。息子さんのことを話す気にもならなかったそうです。息子さんの受傷から約10年経過し、高次脳機能障害専門のクリニックを開設し、講演で全国を飛び回っている納谷先生からは上記の状態を想像もできません。家族の思いの痛切さを改めて思い知らされました。
 四つ目は「連携」です。連携の重要性は強調されて
いますが、利用者が満足できるレベルとはほど遠い
実態はなかなか改善されません。納谷先生は、「医療から福祉のつなぎ」では病院は何もしてくれないということを「4階の窓から飛び降りるようなもの」と表現されていました。4階の窓から飛び降りたら、新たに脳外傷になってしまいそうで、それほど厳しい現実であると感じていらっしゃることが理解できました。
 最後は「手帳」です。今回の講演での私の最大の収穫です。「手帳は下着のようなもの」と納谷先生は手帳のことを表現されました。これを聞いたとき、すぐに私の授業で使わせてもらおうと思いました。手帳に対する思いはみなさん本当にそれぞれで、難しいところがあります。手帳取得を躊躇する方も大勢いらっしゃいます。そのような微妙な位置づけの手帳について、学生に対し、そのような背景も含めて説明することはなかなか簡単ではありません。手帳を持っているだけでもメリットはあります。他人に見せびらかす必要はありません。だからこそ、下着のようなものであると認識することは意味があることだと思います。とても上手な表現だと感心してしまいました。
<愛知県立大学  吉川雅博>
 「フレンズ・ハウス」の活動

研修生の参加で盛り上がった木工細工!
フクロウ・ネズミ・イヌ・シカ等の動物を、思い思いに作りました。
力作ぞろいの中でも、研修生の作った“木に止まった4匹のフクロウ”は、すばらしかったです。    
作品を前において記念写真を撮りました。

そば打ちを始めて3年、皆さん上手に打てるようになりました。この手際よさを見てください!

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