帝王切開のこと

いきなり余談だけど、どうしてこの手術のことを
『帝王切開』 っていうんでしょう?
『切開』 はわかるけど、なぜに 『帝王』 ???
気になって仕方がないので、調べてみましたよ〜(←暇人)
俗説では、ローマの帝王ジュリアス・シーザーがこの方法で産まれてきたから
『帝王切開』 と言われるようになったとのこと。
でも本当はそうじゃないらしいんです。
"sectio caesarea" というラテン語をドイツ語に訳すと"Kaisershinitt" で、
そのドイツ語を日本語に訳した時に間違えて訳してしまったのだとか。
"Kaiser" には@ 『皇帝』 という意味とA 『切除する』 という2つの
意味があって、本来なら 『切開切除 』と訳すべきところを、『帝王切開』 と
訳してしまったそうです。
なるほどね〜。
すっきりしたところで、私の 『帝王切開』 体験をご紹介します。



 帝王切開になった理由
初期の検診で骨盤の大きさを測った時、『やや狭め』 と言われた時から
何だかそんな予感があったんです。
臨月になってレントゲン写真で確認してみたところ、
骨盤の入り口と赤ちゃんの頭の大きさがほとんど同じで、
赤ちゃんの頭がそこを通過できるかどうかは微妙だと診断を受けました。
通過できない=頭が骨盤の中に入ってこない=いつまでたっても
陣痛が起こらないということらしいです。
とはいうものの、まだ普通分娩できる可能性はあるということで
もうしばらく様子をみることになりました。
でも、それから数週間たっても、赤ちゃんの頭はプカプカ浮いたままで
下がってくる気配は全くなし。
そこで、ドクターに選択をせまられました。
『陣痛促進剤で普通分娩にトライしてみて、ダメなら切る』 か、
『最初から帝王切開でGOする』 か…。
陣痛も体験して、苦しんだ挙句に切るなんて耐えられない…(泣)
こうして私は 『帝王切開』 を選択することになったのです。



 手術するにあたっての準備
手術の2日も前から入院となりました。
手術に備えていろいろと活動を開始するのは手術前日なのに。
そんでもって、きれいさっぱり剃られましたよ。
背中からお腹の産毛、そして下の毛まで。
もう1本も残らず(笑)
剃られながら、看護師さんに聞いてみました。
看護学校で剃毛の授業はどんなものなのかと…。
「患者さんも恥ずかしい思いをして剃られるのだから、
あなた達も同じ思いを体験しなさい」 ということで
授業で生徒同士で下の毛の剃りあいっこをさせられたとか。
過酷な授業ですね…。



 陣痛と間違えられ…
天気はイマイチだったけど気持ち良く目覚めました。
体調も絶好調!
子供を迎えるには最高の日に思えました。
でもまさかあんな苦しみを味わうことになろうとは…。
手術は午後からの予定だったが、朝の7時過ぎから浣腸開始。
私が入院していた大部屋では落ち着かないだろうからと気を遣ってくれ、
私は陣痛室で浣腸を受けることになりました。

浣腸直後にトイレへ入り、しばらくこもる。
普通に排便を終えた後の浣腸…もう出るものなんて残っていない。
済ませるとベッドに横になり、NSTのためお腹にペタペタ貼られたり
巻かれたり…。
「トイレに行きたくなったら呼びボタンをおして下さいね〜。」 と言い残し
看護師さんはどこかへ行ってしまいました。
本来なら陣痛で苦しむ妊婦さんが横になるベッド。
そこに浣腸で苦しむ私が横になるなんて、なんだか不思議な気分。

そんなことを考えながら横になること約10分。
お腹に痛みが走り、再びトイレに行きたくなってしまいました。
看護師さんを呼び、お腹の機材をはずしてもらってトイレへダーッシュ!
戻ってきて、また機材をつけてNSTを続行…。
こんなことを数回繰り返しているうちに、私はドッと疲れてしまいました。

何度めかに看護師さんを呼んだ時、今までとは違う人がやってきました。
痛みに苦しみ、冷や汗さえ浮かべている私を見て一言。
「子宮口はどれぐらい開いてますか〜?」 

苦しみながら事情を説明し、「開きそうなのは違うところだよ〜!」 と
心の中で叫びながら急いで機材をはずしてもらったのでした。
しかしよく考えてみると、浣腸後の痛みも 『寄せては返す波』 のようだったなぁ。
なんだか陣痛みたい。
私にとっては浣腸が陣痛の変わりだったのかもしれません。



 痛くないんじゃなかったの?
浣腸の苦しみは手術の直前まで続きました。
何度トイレに行ったことかわかりません。
手術を受けるころには、私は脱水症状に陥る直前でした。
午後1時半、手術室に運ばれて局部麻酔をされ、手術開始。
ものすごい痛みを感じました。
医師に訴えるも、「大丈夫、大丈夫。今スゴイことしてるけど
麻酔が効いてなかったら大変なことになってるよ〜。」 とお気楽な答え。
そりゃぁ、そうでしょうよ。
でも、切ったり引っ張ったりしているのがリアルに分かるの(泣)
手術の最中、私は眉間にシワをよせてウンウン唸りっぱなしでした。

痛みのピークはちょうちゅけを取り出すために、上からお腹をグッと押された時。
「痛いっー!!!」 と叫んでしまいました。
普通分娩なら、赤ちゃんが出たら痛みがウソのようにひいていくと聞きましたが
私の場合、出た後もまだお腹がパッカリ開いているわけで…。
「赤ちゃんをきれいにしてからお見せしますね〜」 と言われたけど
あまりの痛みのため、「いいよ、いいよ、泣き声で元気なのはわかったから
早く私を何とかしてくれぃ〜!」 と叫びたい気持ちでした。
ちょうちゅけを顔の近くまで連れてきてもらっても、お腹が痛すぎて
夢見ていた『感動の対面』なるものを感じている余裕もなし。
許して、ちょうちゅけ…。

他の帝王切開体験者は 「麻酔がきいてるから痛くなかった」 って言うのに。
私だけ痛いのか?と思ったけど、同じ病院で帝王切開手術を受けたママさん
達は全員が同じ痛みを体験してました。
この病院は帝王切開で出産する妊婦さんにも 『産みの苦しみ』 を味わわせる
べく、麻酔の量を調整しているのでしょうか???
そうだとしたら、大きなお世話なのです。



 ケロイド体質
術後、手術の説明をしにドクターが部屋にやって来ました。
この病院では通常、傷口をホッチキスの針のようなもので結合するのですが
私がケロイド体質であろうということをみこして
人間用の接着剤で傷口をふさいでくれたとのこと。
しかし、私はあろうことかその接着剤にかぶれてしまいました!
接着剤を塗られたところに湿疹が無数にできてカユイのなんの…。
この接着剤にかぶれるなんて前代未聞らしく、ドクターは研究のためと
傷口のまわりにできた湿疹の写真を撮ってました。
この湿疹は産後3ヶ月後にようやく治りました。
湿疹に苦しめられたことは事実だけど、確かに傷アトはそう悪くないと思います。
上2/3は…。
残りの1/3はしっかりケロイド状になってます (^_^;)



 3日の辛抱!
術後はやはり傷口が痛みます。
寝返りをうつのも一苦労だし、食事をとるために座るのも大変 (^_^;)
一つ一つの動作にものすごく時間がかかるんです。
くしゃみや咳をするのも恐怖…。
本当ならベッドでじっとしていたいところだけど、お腹の中の癒着を防ぐために
「動け、動け!」 と言われるし。
特に、一番初めの試練はおしっこの管をはずして一人でトイレに行かされる時。
トイレまでの距離がとてつもなく遠く感じたなぁ。
また、子宮が収縮する痛みは想像以上でした!
子宮収縮の痛みは薬も効かないそうで、これにはひたすら耐えるしかない(涙)
でも3日間なんとか乗りきれば、あとは本当に驚くほど痛みが
和らいできます♪
1週間後には小走りしちゃってたくらいです (^_^)



 傷アトその後
先ほども書きましたが、私は切ったところを接着剤でつけられた女です。
その接着剤にかぶれて無数の湿疹ができたわけですが、
その湿疹が出てきたのも手術をしてから約1ヶ月後。
「そこまで時間がたっているのに今頃かぶれるのは不思議だ」 と
ドクターはしきりに頭を傾げていました。
でも湿疹のできた場所からして、それしか考えられないそうです。

ちょうちゅけをとりあげてくれたドクターの専門範囲外ということで、
私は皮膚科にまわされました。
その時の私の傷の状態は、傷のまわりに無数の湿疹があり
傷口が何ヶ所か完全にくっついておらず
ところどころカサブタになっているというものでした。
このカサブタが取れると、またジクジクして新たなカサブタができる始末。

ある時、このカサブタが取れたアトを見ると
ナント透明の糸が5mmほどピンと飛び出ているではないですかっ!
本当ならぶったまげるところですが、実は前もって皮膚科の先生が
手術の縫い糸が出てくる可能性があることを教えてくれていたので
「ほほぅ〜、これが…」 という感じで冷静に受け止めることができました。
後日、病院で取ってもらいました。
ピンセットで引っ張っただけで簡単に取れたのにはちょっぴり驚きましたけど。
この糸が刺激となって、傷口がジュクジュクしてなかなか治らなかったようです。




骨盤狭という理由で帝王切開となりましたが、蓋を開けてみれば (腹を切って
みれば) 実はちょうちゅけの首にへその緒が巻き付いていたとのこと。
どうりで降りてこなかったわけね…。
無理に陣痛を起こして普通分娩にチャレンジしなくてよかった。
ちょうちゅけを危険にさらすところでした。
帝王切開で得?したなと思うことは、普通分娩なら1週間で退院だけど
手術した私は2週間も病院で上げ膳据え膳の生活ができたこと。
少しでも長く病院にいた方が食事も作ってもらえるし、
ちょうちゅけの面倒も授乳以外はみてもらえるし。
里帰り出産も、産後の里帰りもしなかった私にはこれは大助かりでした♪