木の話あれこれ
ここで話す木とは、現在使用されている国産の無垢材についてです。(主に住宅に使用される)
1 木は、育った年数分は最低持つと言われています。勿論それ以上は持ちます。
2 構造材(土台、柱、梁等)について
1) 日本の場合、50年以下の木材は間伐材として扱われ(主に板材等)構造材として使用することは
認められていません。構造材として市場出てくるのは60年以上の木材です。
2) 木は伐採したあと、耐力がどんどん増します。
学者によって異なっていますが
@ 人間と似ていて20〜30年位は耐力が増しその後徐々に耐力が衰えてくる
人間に例えて言うならば、60年育って伐採した木材ならば、20〜30才まではどんどん体力が
増進し、その後徐々に体力が落ちてきます。言うならば円熟期入ってきて魅力も増します。
(木材ならば、色合い等風格が出て、落ち着いた輝きを醸し出します)
その後、老早期、老年と年月を重ね、天寿を全うすることになります。これが60〜100年位です。
家が30年位なると、古くなってとよく言われますが、とんでもないことで人間の30才位の人に、
もう貴方は、年をとったからそろそろなんて言ったら張り倒されます。
では何故、家は30年位経つとこのように言われるかというと、国が家の償却年数を30年として
いるから、皆さんが勘違いをしているだけです。
*10年位前から、耐震診断(昭和56年以前に建てられた住宅)を行政が行なっていますが、30年以上
経った家を主に診断します。ちゃんと建ててある家は、床下、小屋裏等を見ますと、全然何ともないで
す。まだまだこれから30年、40年は充分に持ちます
A 育った年数まで耐力増しその後徐々に耐力が衰えてくる
60年育って伐採した木材ならば、60年間はどんどん耐力増し、その後60年間徐々に耐力が衰える。
トータル120年は大丈夫。
B 木材が朽ちるまでずっと耐力が増す。
大別すると上記3つに成ります。私の場合は、主に@の説明をしています。
皆さん一度試してみてください。
生木(水分を多く含んだ木材)、乾燥した木材(新しい材から、年数を経たもの)をノコギリ切ってみて下さい。
生木が一番簡単に切れます。乾燥した木材は、材が古くなるほど固くて切りにくくなります。材が徐々に強く
なっているからです。
木の持つ特性
1 木には無数の空気の粒の細胞があり、木気が暖かく感じるのはその空気の細胞によります(断熱効果)。
2 素足が触れる床の場合−木の床は、最初ちょっと温度が下がりますがその後暖かさを感じます。
コンクリートの場合は木に比べ熱伝導率が高いので見る見る足の温度が下
がり冷たくなります。
又木の床の場合、人が歩くための硬さの嗜好尺度のちょうど良い部分に当た
ると言われています。硬すぎる床だと歩くときその衝撃を全て跳ね返し、又柔ら
か過ぎる床だと歩くときその力を吸収しすぎます。その点木の床の場合は、丁
度良い弾力を持っているので、快くて疲れません。
3 調湿作用について−室内の湿度が無くなって乾燥(特に冬場)しすぎると木はそれまで蓄えていた水分を
放出し、室内の湿気の多いとき(特に梅雨時等)は木が水分を吸収してくれます。
室内の湿度が常に50%〜60%前後に保たれ快適に過ごせます。
4 音について−木は、耳が痛くなるような高音や、不愉快な異常低音は吸収し、気持ちの良い音だけを反射
します。適正残響という性質から、音楽ホールや劇場の室内の仕上げに使われています。
5 光について−木は、人が最も気持ちが良いとされている約50%の反射率で、嫌な光線を吸い取ってくれま
す。又、目に悪いとされている紫外線の大部分も吸収してくれます。(目に優しい)
6 木の放散する揮発性物質(フィトンチッド等)には細菌や虫を殺したりする作用以外に、脳を刺激して活動を
活発にする作用もあると言われています。
7 消臭作用−嫌な臭い(煙草の臭い等)を吸収して木の香りがします。(試しに車の中に木切れを置いて
みてください 嫌な臭いが消えて、木の香りが車内に漂います)
8 木は火に弱くない−木は火災に弱いように言われてますが、決して弱くは有りません。バーナーの火を当て
てみてください。表面が炭化しますが容易に火は着きません。火災の場合、木以外の燃
えやすい物から燃え出して最後に木が燃えますが、燃える速度(炭化)は1分間に0.1mm
と言われています。(木造の火災現場を見ますと柱、梁等が残っているのは芯まで燃えて
いないからです)
*以上の様に木には様々な特性が有り、意識するしないに係わらず、そこに居住する人に良い効果をもたらして
くれています。無垢の木を大いに使用しない手は有りません。無垢材が高いと思われていますが決してそんな
ことは有りません。是非、山の仕事に携わっている人に直接聞いてみてください。丁寧に教えていただけると
思います。
*昔から言われている事ですが、その地で育った木を使用するのが一番いいと言われています。木は、切った後も
呼吸して生きています。日本の高温、多湿で、雨の多い地方では、特に同じような環境の下で使用されるのが
良いと言えるのではないでしょうか。
又、輸送手段が発達していない時代は、近くの山で切り出された木材を使用していました。それが民家等
100年、200年の家が今だに存在している理由の一つだと思います。
では現在多く使用されている集成材はどうでしょうか
1 その殆どがホワイトウッド、レッドウッド等北欧産やカナダ産等の輸入材が主です。
構造材(土台、柱、梁等)として使用されるようになって30年〜40年位だと思いますが、国産の無垢材の家の
ような60年、70年、100年という家はまだ有りません。
2 集成材は無垢材より強い
集成材は無垢材より1.5倍強いという話をよく聞きます。本当にそうでしょうか?(素朴な疑問以下)
木は一本一本その性質が、その育った場所(気候、山の高低、南・北斜面等々)によっって異なっています。
集成材は、木をわざわざカットしてそれを接着剤にて接着をして、柱、梁として使用されます。
素朴な疑問として、無垢材としての強さがあればわざわざカットする必要が無い訳です。
集成材として使用する材は、無垢材としての強さが無い材同士をカットして、接着をして強さを出していること
に成ります。これで本当に強い材に成るのでしょうか。(「続いい家は無垢の木と漆喰で建てる」神崎隆洋著
という本があります。その中に埼玉県産業技術総合センターにて無垢の桧材、市販の集成材を持ち込んで
強度試験をしその結果が載っています。その結果からすると必ずしも集成材が無垢材より強いとは言えない
という結果が出ています。詳しくは著書を読んでみて下さい。私供に問い合わせて頂けたらこの本のお話を
致します)
3 集成材は無垢材より1.5倍強いと仮定して?
集成材は無垢材より1.5倍強いから、無垢材の家より1.5倍強いと思っていらっしゃるのでしょうか?
私は集成材を使用して家を造っている現場を何度も見ていますが、集成材を使用している家は、無垢材を
使用している家に比較して、その材(梁)が小さいようです。例えば無垢材の家が240mmの梁を使用していたら
集成材の家も240mmの梁を使用していれば1.5倍強いかもしれませんが、180mmの梁材を使用していれば、
強さは、無垢材の家とはそんなに変わらなくなってしまいます。材の大きさを確認してから1.5倍強いかどうか
を比較することことが可能だと思います。 1.5倍に惑わされないように(2のことが本当ならばちょっと考え直さ
ないといけないかも?)
4 集成材の家は木の家と言えるのでしょうか?
集成材の家も、木造には違いないですから木の家と言えるのかもしれません。多くの建築会社、ハウスメーカー
等が木の家を謳い文句としていますが?
では木の家ってどんな家のことを指すのでしょうか。
私が思うに、上記の木の持つ特性の項で書いてあることが感じられる家だと思います。もう一つ加えて木の香
のする家。
集成材の家でも、無垢材の家でも、床が合板、壁、天井がビニールクロス貼り等新建材が多く使用されてい
れば、全て木の良さや香りを消してしまい、接着剤等新建材の臭いの方がまさってしまいます。木の持つ良さ
を消してしまうような家が、木の家と言えるのでしょうか?
5
小休止、続きはまた次にします(中々進まないです?)
8月11日更新