目次

1        家を造ろうとする場合まず何を考えるのか

2        建築主(施主)と設計士  (設計者選定)

3        建築主(施主)と施工業者(建築会社等) 施工業者選定

4        最近の出会い(T氏、Y氏との出会い

5        木材の原産地訪れる楽しさ、面白さ

6        まとめ

 

1        家を造ろうとする場合まず何を考えるのか

1        建築資金(総予算)

2        規模(家族構成による家の大きさ(延べ坪数))

3        間取り(必要と思われる部屋)

4        素材(自然素材重視なのか新建材でいいのか)

5        居心地の良さ(住みやすさ)

6        耐震性能、耐久性

7        外観(見栄え重視なのか、周りの風景に合ったものなのか)

8        工法(木造在来、木造枠組み(2×4工法)、鉄骨造、RC造)

9        工期(3ヶ月(短期間)、1年(長期間)なのか)

10   その他

1        建築資金(総予算)

無理のない資金計画をする。その予算内でどのような家が可能なのか、様々な所を訪れて十分検討をすることです。急がないことです。(性急に事を運びますと必ず後で後悔します)但し、難しいのは予算に縛られすぎて自分達の望んでいない家を造るようになることです。その様に成らない為には、2〜3年前から計画することです。(謳い文句に坪30数万云々という所が有りますが、そういう所へ行かれた施主さんが何人か私共へ来られましたが、殆ど坪50万は越していました。話を聞くとお宅は敷地が特殊だとか色々理由つけて謳い文句とはかなり異なっています。気を付けてください−安易に契約をしない-契約後意に添わなくなった場合は、多少の違約金を支払ってでも解約する勇気も必要です)建築資金は、他人任せには絶対しないで下さい。建築会社の社員がすべて面倒な手続きをしてくれるから良いなんて呑気なことを言っている人がいますが、用心しないと何をされているのか解りませんよ。面倒で解りにくい事程,だまされていても解らない事が多いので、必ず自分でして下さい。騙されてからでは遅いです。
何故か、金額が大きくなると、5万,10万単位の金額を疎かにしますが、小さい金額の積み重ねが大きくなります。充分に考えてください。

2        規模

家族構成や、土地の広さや、予算によって変わってきますが、長い間には、家族は増えたり減ったりしますので、それにうまく対応できる広さを考えることです。欲張らないで、無駄と思われるものは省く勇気をもってください。無駄を無駄と言ってくれる設計者や、施工会社を選ぶ事も大切な事だと思います。

3        間取り

間取りを考える場合、自分達のこれからの生活スタイルを考えて、まず家の中心をどうするのかを充分に検討して部屋を考え、その部屋とのつながりをどのようにするかを考えることです。全てを満足するような間取りを望めば、規模がどんどん大きくなってしまい、建築資金が膨らむと同時に、逆に締まりの無い間取りになってしまう可能性が有りますので十分注意してください。優先順位付けて考えることが必要かと思います。

4        素材

使用される素材は大変重要です。例えば自然素材(無垢材、塗り壁等)を多く使用すればそれだけシックハウス症候群罹りにくいですし、新建材(合板類、ビニ-ルクロス等)を多く使用すればシックハウス症候群に罹りやすくなります。(全てそうなるとは言いませんが)素材についてはその材の持っている長所、短所を十分に説明していただける所を選んでください。説明が不明瞭だったり、説明していただけないところは避けてください。(例えば火災の際、有毒物質が発生するがどうかは大切なことです(ビニ−ルクロスは大量の猛毒ガスが発生します-充分に気をつける必要があります-近年の火災に際には殆どが猛毒ガスを吸って窒息しています)。また現在は、柱、梁等構造材に集成材が多く使用されていますが、何故無垢材ではなく集成材を使用しているのか、集成材と無垢材がどのように違うのか聞いてみることも必要ではないかと思います)それともう一つ重要なことは、使用される素材によって部屋の雰囲気が感じるものが全く異なってきます。住宅展示場では中々比べることが出来ませんが、地道に造って居る所は必ず有りますので、探せば見つかると思います。根気良く探して一度比べてみることをお勧めします。

5        居心地の良さ

家の中にいて本当に心が安らぎ、落ち着けることが感じられる家を造ることは大切なことです。本当は住宅展示場だけではなく、実際にその業者の造った家に住んでいる人の家を見せてもらい、住んでみてどんな風なのかを聞くことが一番適切だと思います。それも一軒だけではなく、二、三軒見せていただくことです。居心地良さは、間取りと、素材が重要だと思いますので、設計の自由度が高く、素材の説明を充分にしていただける所を、お勧めします。

6        耐震性能、耐久性

現在は耐震性が重要になって居ますが、耐震性能の良い家が全て良いとは限らない。家にとって大切なのは日々の生活の中で、いかに快適に楽しく暮らすことが出来るかという事です。耐震性について言えば、きちっとした設計図をもとに、腕の良い職人さん達が腕を揮って、時間をかけて、きちっと造れば心配することは全然ありません。勿論耐震性について説明していただくのは当然のことです。余り過剰に反応しないことです。(現在盛んに耐震性能を前面に出して、売り出しているメ−カ−が数多くありますが、では以前に売り出していた建物の耐震性能はどうでしょうか。聞いてみたいものですね、多分以前の建物も耐震性能は良いから大丈夫ですというと思います。大丈夫だとしたら、今売り出している建物とどのように違うのか聞きたいものですね。無理に(?)耐震性能を上げて売り出し価格を高くするのは如何のものでしょうか。メ−カ−の場合極端なことを言えば、流行と同じで時代に合わせて造っているところがありますから、余り過剰に信用するのはどうかと思います。過去何年か前までさかのぼってそのキャッチコピ−を見ると平気で正反対のことを言っていると思いますよ)
耐久性についても、解り易く充分に説明をしていただける所を選ぶべきです。
木造在来工法について言えば、木は育った年数は最低持ちます。通常構造材は、70年前後の木材が使用されますので、普通に住んでいれば70年前後は持ちます。過剰に耐久性能を謳っている所は用心してください。

7        外観

家の外観は、街の風景の一部です。一軒、一軒が集まって街を形成しています。その街をどんな雰囲気の街にするのかは、全て家を造る人達に依って決まります。ですから外観は大変重要だと思います。
外観を考える場合、奇抜で色彩鮮やかな(?)外観を求めるのか、その街の風景に合った落ち着いた外観を求めるのか。家を造る人が、一人一人街造りに参加しているという意識をもって、子供達にも誇れる良い家造り、良い街造りをしたいものです。私達は確実に年老いて行きます。年老いたときにも耐えられる外観を考える必要もあると思います。また余り外観を重視しますと雨漏りの原因に成りやすいので気を付けてください。

8        工法

工法を選択する場合どんな構造体にするかによって規制される部分が異なってきますので充分説明受けて、自分達が描く家を造るにふさわしい工法を選択してください。(一つ一つ詳しく説明しますと長くなりますので簡略して書きます。充分説明を受けて下さい)木造在来工法 柱、梁の組み合わせによる木造ラ−メン構造、(木材の持つ柔軟性を生かした工法です、増改築する場合は簡単です)工期は6〜9ヶ月程かかります。木造枠組工法 柱、梁は無く壁だけによって持たせる工法(壁構造-柔軟性に欠ける。増改築は難しい)3ヶ月程で完成します。
鉄骨造 大空間が必要な場合は良いですが小住宅には適さない。柱型、梁型が部屋の中に張り出してきてしまいます(鉄骨造の場合は、溶接技術の確かなところで行う−継ぎ手部分が溶接だけで持っているので注意−神戸の震災で実際にひどい建物を見ました)RC造 壁構造と柱、梁によるラ−メン構造の2種類があります。RCの場合冬は寒く、夏は暑くなるので充分に対策をすること。(建築費はかなり高くなり、工期もかかります)

9        工期

 工期は工法によってそれぞれ異なってきますので充分説明を受けて下さい。
 現在、ハウスメ−カ−等は殆ど3ヶ月位で造ってしまいますが、私達がいつも言っていることですが、3ヶ月で造るものがどんな家なのか充分に考えてください。人が一生住む家です、そんなに簡単に造って良いものがどうか(?)
(腕の良い職人さんが丁寧に造った家は、工期はかかりますが良い家が出来上がります) 

10   その他

 住宅を造る場合、現在は地震のことが言われていますので、殆どの業者は地盤が明らかに良いと思われる場合以外は地盤調査をしていますので問題ないと思いますが、不安な場合は必ず家を造る場所の地盤を調査することをお勧めします。
 住宅造りは、一生のものですから、中途半端に妥協しないで、諦めないで充分に納得がいくまで考えてから造ってください。

2        建築主(施主)と設計士

今回は例を上げて話したいと思います。
条件
1         国産の無垢材(構造材、造作材全て)、塗り壁を主体とした木造在来工法の家(新建材を使用しない)
2 規模 40〜45坪位
3 予算 2500万位 
 上記の条件で設計事務所を訪れた場合(簡略して書きます)
Aの設計事務所
1、2の条件から考えますと、今ですと坪単価70万以下では出来ないので難しいですよ。3000万位は必要になると思います。2500万の予算だと新建材(合板、ビニ−ルクロス等)を使用した家になってしまいますといわれます。

Bの設計事務所
1、2の条件では2500万の予算では難しいと思いますが、取あえず設計をして、見積もり入札をしてその結果で考えてみましょうか。多少新建材を使用することに成るかもしれませんが、何とか努力してみましょうか。

 Aの事務所を選択した場合は、他を探すか、諦めるかになります。
 B事務所を選択した場合の結果は、設計内容は別としまして、見積もり入札の結果は3000万〜3500万の間の金額で出て来ます。じゃ如何するのかと言いますと、1つは2500万の予算に合うように全て新建材を使用した家を造る。2は思い切って予算3000万位を都合して家を造る。3諦める。この3つの方法しかありません。
では何故このような結果に成ってしまうのでしょか。
設計事務所の殆どは、工事原価が解っていません。工事の適正価格の判断が残念ながら出来ません。何社かで入札をした場合最低価格と最高価格の差額が15%〜20%位違って出でくる場合が殆どです。この場合どの価格が適正なのか判断する必要がありますが、工事原価が解っていない設計事務所では出来ません。ですから最低価格の施工業者という事になる事が殆どですが、余りにも安い場合は手抜き工事の原因にも成りますし、高ければ業者の儲けすぎになります。ではどうすれば言いかということに成りますが設計事務所に依頼した場合はある程度やむをえない事だと思います。

2 設計事務所を選定する場合(住宅に限定)
1)設計事務所が何が得意分野なのかをまず尋ねる。
ご依頼とあれば何でも出来ますという事務所は避けたほうがいいです。(1級建築士であれば資格としてはあらゆる建物の設計は出来ますが、人は万能ではありません。普段多く手がけている分野ならばそれ程間違いは無いと思います。 何でも出来ますは、裏を返すと何も出来ないということに繋がります)
2)構造は主にどんな構造の住宅を設計しているのかを聞く。
構造は建物の基本をなすものですから充分に説明を受ける。
木造、鉄骨層、鉄筋コンクリ-ト造、それぞれ特徴があります。選択する構造によって設計内容も異なってきます。構造も得意としている分野の設計事務所に依頼して下さい(これも1級建築士ならば全て設計出来ますが普段設計し慣れていない設計事務所は避けたほうがいいと思います)
3)住宅を設計する場合何を重点としているのかを尋ねる
重点としていることが自分たちと想いと近いならば依頼することもいいですが、ご要望があればどんな風にも設計いたしますという設計事務所は避けたほうがいいかもしれません。
4)実際に設計した設計図を見せてもらい、何を重点として設計したのか説明をしていただく。
5)出来れば実際に設計した家を見せていただいて、住み心地等感想を聞いてみるのもいいかもしれません
自分達の想い描いている物に近い設計事務所に依頼されることだと思います。

3        建築主(施主)と建築会社(施工業者)

前記2と同じ条件で建築会社(施工業者)を訪れた場合
Aの施工業者を訪れた場合
 最初から余り話しに乗っていただけません
 前記1,2,の条件の場合、工期は長くなりますし、手間隙もかかりますので坪単価70万以上は確実にしますので、まず適当にあしらわれます。(3000万以下ではまず造ってはいただけません)

Bの施工業者を訪れた場合
 難しいといいながら、何とか自分達の手の内に引っ張り込んで形ばかりを少し取り入れて1,2の条件を殆ど無視をして3、だけの条件の合った家を造る方向に強引に持っていってしまい造ってしまう。(この場合は悲惨な結果に成ってしまいます)ではどうしたら良いかと言いますと、1 諦めて2500万の予算に合った家を造る
2 3000万を都合して自分達の想い描く家造りをする
3 諦めないで何とか探し続ける(想い続ければ必ず想いは叶うと信じて探し続けることだと思います。一生住み続ける家です大切にしてください)
2       建築会社(施工業者)を選定する場合 
1       施工業者が家を造るときどのような方針で、何を重視して造っているのかをまず尋ねる。(自分達の考え方と近いのか良く吟味してください)
2       得意としている工法を尋ねる。(木造在来工法(手刻み、プレカット−国産無垢材、集成材)、木造枠組工法(2×4工法)、軽量鉄骨造、重量鉄骨造(鉄骨造)、RC造等】どんな工法でも造りますという施工業者は避けた方が良いと思います。
3       実際に建築中の家を見せていただく。
4       完成して実際に住んでいる家を見せていただき、住み心地等を聞いてみる。
5       どんな職人さん達が居るのか聞いてみるのも良いかもしれません。

ハウスメ−カ−、建設会社、工務店等に依頼する場合、多くの施主の方は、自分達の家を造ってくれる職人(?)を知らない場合が多いです。変ですよね、自分達の家を造ってくれる職人が何処の誰で、どんな腕前で(経験年数等)どんな仕事をして来たのかを全然知らないで依頼する、不安にならないのか私は不思議でなりません。少なくとも、基礎、大工、瓦屋、左官仕事があれば左官、建具屋、ビニ−ルクロスがあればクロス屋、板金工事があれば板金屋、設備工事屋さんくらいは聞いて確かめるのが当然だと思います。私共の職人は間違いないですから心配しないで良いですよと、教えてくれない施工業者は避けてください。(造ってくれる職人の顔の見えない家造りは避けてください)

 

4 最近の出会い(T氏、Y氏との出会い)

T氏との出会い
 T氏との出会いは、私共が依頼をした測量士のM氏とたまたま私共の家造りの話を色々していましたら(M氏はたまたま私共の造った家の登記をされ、私共の造った家を見て知っていらっしゃいました)そんな考え方で造っているなら私の同業者で色んな所を廻っているけれど、今一つ合わないようで迷っていると言う話を聞きました、だいぶ前の事なので、もう決まっているかも知れないけれど、木香舎さんの話をしてみても良いですかねといわれたので、良いですよ、話を聞いていただいて参考になればと思いますので話してみてくださいとお話しましたところ、M氏と別れてから10分位したら、M氏からTELがあり、是非とも話を伺いたいとの事なので電話番号を伝えておきましたので宜しくとのTELがありました。その日の夕方T氏からTELがあり、後日私共を訪れる日時を決めました。

T氏が私共を訪れたときの話
 私共の家造りの考え方進め方を例のごとく長々と話した後、T氏に話を伺ったところ
1       色々廻りましたがハウスメ−カ−等は、設計の自由度が無い。あるパタ−ンがあって、それを変えていくとオプションと成ってしまい価格がどんどん上がっていきます。それでもまだ納得のいく間取りにはならない。
2       最初に木香舎さんの造っているような家をこれ位の予算で造れないかと相談すると、話にも乗ってくれない。
結果、もう私達には木香舎さん達の造っているような家は造れないのかと諦めていましたが、それでもと思い迷っていました。たまたまM氏から電話をいただき木香舎さんの話を聞きまして、希望が待てました。価格については、家の規模(大きさ)や形によって異なりますが坪単価55万〜60万位はかかりますとお話はしました。私達の造った家を見学したいと言うことで、住んでいる方の都合を聞きまして後日3軒の家を見ていただき、その結果T氏は私共に依頼されました。

Y氏との出会い
 ある日TELがあり木香舎さんですか、はいそうですが、木香舎さんのホ−ムペ−ジ見ました、一度お伺いをしてお話を伺いたいのですが宜しいでしょうか。はい何時でも良いですよ。日曜や祭日でも良いですか、はい良いですよ。では相談をしてまた電話します、はい解りました宜しくお願いします。その日の夕方電話があり後日会う日時を決めました。
Y氏が私共を訪れたときの話
 T氏が私共を訪れた時と同様に私の長い長い話(相変わらずの3時間ほど)を致しました。話し終わりますと、T氏がいきなり(私共にとって)木香舎さんに依頼したいと思いますが如何でしょうか。え、私共に依頼されるって。駄目でしょうか。そんなこと無いですが、どうして、ええ、今まで色んな所に行きましたが、ここまであからさまに、色んな事を話して頂いたところは何処もありませんでした。それと私達が描いている家と、ホ−ムペ−ジや今日見せていただいた写真を見て殆ど一致しています。完成した家を見ないで良いですか。見学できれば良いですが後日で良いです。一度現地を見てみないと、と言いますと、今からでも、いえ今日はちょっと行けないですが後日と言うことで日時を決めました。
後日完成した家を見てもらい、家を建てる現地を見せてもらいに現地に行きそこで改めて、本当に私共に依頼されるのですかとお尋ねしたところ、本当にお願いいたします。(初めて私共を訪れて、私の長い長い話を聞かされて、その日に私共に依頼されたの初めてなので本当に良いのかと) 改めて、如何して私共の造る家をとお尋ねしたところ、たまたま北陸旅行の帰りに富山から高山を通って名古屋に帰るとき、向こうの方には立派なちゃんとした家があるのに、名古屋に近ずくにしたがって、そういう家がどんどんなくなっていく、自分達の住んでいる近くにも無いし、まして、住宅展示場にはありません。色んなホ−ムペ−ジ見ても、言っていることと、実際に造っている物が何処か少しずれていて、なんとなく違和感があります。解り易い例でいいますと自然素材の家といいながら、木製建具は既製品の新建材の建具だったりします。たまたま木香舎さんのホ−ムペ−ジ見ましたら、言っていることと実際に造っているものが首尾一貫していました。そこでお尋ねして、話を聞きましたら本当に思っていた通りでした。 ですから何の迷いも無くその場で依頼することにいたしました。はあ、そうだったんですかと納得致しました(Y氏はもう1年半位前から住宅展示場等色々見て廻っていたとの事です)
T氏、Y氏とも私共が造っているような家を造りたい場合本当に何処へ行ったら良いか解らない。住宅展示場へ行って見ても、メ−カ−が異なっていても皆どの建物も同じような感じで、もう見るべきものが無い。坪単価70万や80万出せれば良いけれど、55万〜60万位で造ってくれる所は本当に無いです。(20〜30年程前迄は、普通の人が無垢材を使用しても普通の価格で造ることが出来た住宅が、今では如何してこんなに高く成ってしまったのでしょうか。極々当たり前に造ることが出来た家が出来なくなるなんて何処か変ですよね)木香舎さん以外にもあるかもしれませんが本当に探すのは大変です。本当に木香舎さんと知り合えて良かったです。(今まで私共に依頼された方の半分以上はT氏、Y氏のような方です。まだまだT氏、Y氏のような方が多くいらっしゃるようでそのような方と良い出会いが出来るようにしたいと思っていますが中々難しい問題です。それに私達も年に何棟も出来る訳ではないので、難しいですが、家造りがどんなものか、また参加することがどんなに楽しいことなのかを知っていただきたいと思います)

5 木材の原産地を訪れる楽しさ、面白さ

私達は施主の方には、必ず木材の原産地三河の鳳来町(現新城市)に行っていただいています。
1)       普段から木材を扱っている木の専門家から木材の持っている特質、特性等の説明等受けます。(材の持つ特性は、材種によって異なっていますので、実際の木材を見て説明を聞くと本当に楽しく、面白いものです。
2)       実際に使用する土台、柱、梁、床板、壁板等を見ていただきます。見ることによって納得をし、また安心感を持たれます。(使用する木材の実物を見ることの大切さを痛感します)
3)       市場に出てこない面白い材や、多少欠点のある材(少しのひび割れ材−材の持つ特質や、強度的にも全然問題も無い材-こういう材を使用しないのは勿体無いし、木も可哀想ですよね-木は使われることによって生きますものね)でも使い方によっては全然問題も無い材が格安で手に入ります。
4)       原産地を訪れますと(行く時期にもよりますが)本当に様々な材が割安で手に入ります。例えば一本の丸太材が厚さ4〜6cmにスライスされた材が有りますと、その一本の材から、食卓テ−ブル、カウンタ−、床の間の床板、玄関式台、飾り棚、机の天板等々を割安で造ることが出来ます(一本の木材で家の家具の殆どが出来上がるということは一般的にはまず無いことです。これも原産地を訪れる楽しさ、面白さです)
5)       食卓テ−ブル等家具材は、仕上げる前の原材を見て(材の木目、色、特性等の説明を聞きながら)その場で施主さんと一緒になって価格等の交渉をして、決めています(私共のように価格を全てオ−プンにしているから施主さんと一緒に出来ることです-全て支払いは施主さんから直接材木屋さんに支払らわれます)
6)       私達のように施主さんと一緒に原産地を訪れますと、向こうの方も、図面を見ながらいろいろ提案してくれます。その多くは価格は同じで良い材に変わります。(例えば他で使用する予定であった材が使われなくなったので、価格は見積もり金額のままでいいから使ってはどうか等)向こうの方が言われるのは、木香舎さんの場合は、直接お施主さんと来られるから、私達も色んな提案が出来ますが、普通は図面に書いてある内容が絶対なので私達が良い材があるからといって勝手に変えることは出来ませんし、また提案する機会もありません。私達にとっては木香舎さんの場合は、色々提案できるので私達もやりがいがありますし楽しいです。

一緒に行った施主さん達は、皆さん、如何して他のところは原産地に連れてこないのでしょうねとよく言われます。私達みたいに全てオ−プンしていないと難しいですよ。普通施工業者は全ての材の価格に上乗せして見積書を作成しているので、本当の価格が施主に解ってしまったら困りますから連れて行かれない。原産地を訪れて材を見て仕入れる事は、安心感と共に、市場を通して仕入れるより割安であり、良い家造りが出来ます。家を造る場合、施工業者に木材を仕入れる所に連れて行っていただくように話してみるのも一つの方法かもしれません(多分色々理由をつけて拒否されると思いますが、木造集宅の場合、使用する木材が一番重要ですから充分納得の上で使用して下さい)

6 まとめ

 余り書きたくない事ですが、現在建築現場においては、カンナ、ノミ、に限らずノコギリ、トンカチさえ満足に使えない、自称大工と称する職人(?)が溢れかえっています。そんな人達が造っている建物がどんな物か想像できますか。(規格化された手軽な建物ばかりで、カンナ、ノミ等を必要とする建物がどんどん無くなっているのが現実ですが。寂しいし、悲しい現実です)細部を見たらひどい物です。見る人が見たら、見るに耐えないものがあります。少しの手間を惜しむのか、手間をかける時間が無いのか、手間をかけることすら知らないのか、私達から見ますと、住宅造りの基本的な事が解っていないので、手間をかけることがどの様なことを指すのか解っていないと思います(技術も勿論有りません)。そんな人たちの手によって造られた家に住まわされる施主さんの事を思うと本当に悲しくなってきます。本当に施主さんが気の毒でなりません。長い間、下積みを経験して来た腕のある職人の腕を生かす場がどんどん無くなっています。如何してこんな国になってしまったのでしょうか。
私達の家造りに加わっていただいている職人さんの下に時々若い人が入ってきて来ますがその特徴を挙げますと 1)長続きしない(思うようにならないとすぐに止めてしまう) 2)話を良く聞いていない(自分勝手に判断して間違ったまま造ってしまう) 3)技術も無いのにいうことは一人前(頭でっかちで謙虚さがまるで無い−教わる姿勢が無い) 4)自分から進んで事をしようとしない(言われた事しか出来ないならまだ良いですが言われた事も出来ない) 5)楽をしよう楽をしようとする(技術を習得するのに楽なことは無いということが全然解ってない)等々 何故この様な若者が増えてしまったのでしょうか。今では、本当にちゃんとした技術を身に付けようとする若い人が少数に成ってしまいました。私達大人の責任だと思いますが、この傾向は当分の間続くと思います。受継がれなければならない大切な技術が本当になくなってしまいます。私達大人は本当に真剣に考えなければならない事だと思います。

相変わらず、書きたい事は一杯有るのですが表現力に乏しく、書きたい事が中々書ききれ無く、読みずらいと思いますが宜しくお願いいたします。

はじめに

 相変わらず、毎日のように何の理由も無く(?)、短絡的と思われるような、人が人を殺める事件が続いています。この国は本当にどうなってしまったのでしょうか。そしてこの先どうなってしまうのでしょうか。以前書きましたが、人を形成するには、様々な要因がありますが、建築に携わっているものとして、住宅の大切さを痛感しています。幼少時に過ごす家は、子供達に大きな影響をもたらします。大人たちは、子供達の感情が豊かに形成される家造りを充分に考慮していただきたいと思います。 今回は家を造ろうとした場合、どの様なアプロ−チをして行けば良いのかを考えて見ました。家を造ろうとするときまず何を重視して造るのか。業者を選ぶ時何を重視するのか。そして人と人との出会いとは、原産地を訪れることの面白さ等を書いてみました。家造りの参考になればと思います。
 今回書いている内容とは少し違いますが、住宅展示場について少し書きます。
 住宅展示場は、読んで字のごとく、展示品を見せる場所です。展示品とは皆さん御存知のように、いかに見学に来るお客さんの目を引きつけ、気に入って買ってくれる様に、色んな仕掛けをしているものです。ですから当然そのメ−カ−のグレ−ドの高いもので、外観も見栄えが良く、内装や、各種の設備機器もグレ−ドの高いものを設置しています。(坪単価70万、80万クラスまたそれ以上のものです)キャッチコピ−も、その時代に合った洒落たコピ−になっています(今ですと、地球に優しい、環境に優しいエコ住宅(本当に?)、耐震性能等々)。毎年のようにキャッチコピ−を変えるのはどうしてでしょうか。良く考える必要があると思います。また実際にその家で生活した家族の人たちの住み心地等感想も解りません。展示品と、パンフレットと営業社員の言葉だけで決める事は、信じられないことです。極端な事を言いますと、キャッチコピ−につられその実態も知らないで買ってしまった結果、失敗をしたとしても誰も責任をとってくれません。笑い話ですが、10年、20年前からのキャッチコピ−をたどって見てみると、正反対のことを言っている場合もありますよ。現在盛んに言われている地球に優しいエコ住宅を売り出しているメ−カ−に、以前売り出していた住宅は地球に優しくない住宅だったのか、それ以前の建物はどうなのかと、遡ってキャッチコピ−と比べながら順々に色々聞いてみたいものです。5年前、10年前の住宅は、流行(?)遅れの古い住宅という事でしょうか。家は長い年月を様々な事柄に耐え、年数か経ると共に、味い深さや、風格(重み)が感じられるような家が本当の家だと思います。キャッチコピ−にとらわれる事無く、家の本質を充分に考えて家造りをしていただきたいと思います。