歳時記 

寒干し
 昔から寒中に衣類を干す方法があります。この時期の太平洋側は空気が乾燥しているので、衣類の湿気を十分にとばすことができます。また、寒さのために虫がつきにくいという利点があります。寒さの底を過ぎると、気温は上昇傾向。タンスや押し入れの湿度は次第に低くなります。この時期によく干しておけば、カビや虫の新たな発生も抑えることができます。

冬の土用入り
 土用といえば、うなぎを食べたりする夏の土用がなじみ深いでが、季節の変わり目ごとに年に4回あります。二十四節気の立春、立夏、立秋、立冬の前の約18日間がそれぞれ土用にあたります。1月17日は立春前の冬の土用入り。暦の上では、春に向けての季節の変わり目の時期です。日脚は伸びているとはいえ、実際は最も寒い頃。まだまだ、厳しい寒さが続きます。

冬一番の寒気
 冬の天気予報で「強い寒気」と言う言葉を耳にします。これは大雪をもたらすようなもので、一般的には上空5000m付近の気温が氷点下36度以下の寒気を指します。さらに強い氷点下40度以下の寒気に見舞われることは1年に数回しかない第1級の寒気です。

低温やけどに注意
 寒い日は暖房が欠かせませんが、低温やけどに注意が必要です。すぐには熱いと感じない快適な温度でも、長時間同じ所を温めると、やけどをすることがあります。カイロは服や下着の上から、湯タンポやアンカはタオルなどにくるみ、直接肌に当てないようにしましょう。また、電気カーペットはつけたまま寝ないようにご注意ください。

顔で寒さを測る
 各地で寒さが続いています。「顔」で寒さを測る目安があるので、いくつか紹介しましょう。外で帽子をかぶらずに頭が痛くなると大体氷点下10度前後、鼻から息を吸ったときに鼻の穴がくっつように感じたたら氷点下15度くらいといわれています。氷点下20度以下ではまゆ毛やまつ毛に霜がつくようになります。

鏡開き
 1月11日は鏡開き。お正月に供えた鏡餅を食べ、一年間の無病息災を願います。鏡餅は包丁で切らずに手や木づちで割るのが一般的です。これは、鏡開きが元は武家社会の風習で、刃物で切ることは切腹を連想させると敬遠されたため。「鏡」は円満、「開く」は末広がりという縁起のよい意味も。温かいお汁粉やお雑煮で寒さを吹き飛ばしましょう。

雪の反射率
 雪は太陽光線の反射率が高く、新雪では9割を反射します。雪の上では上からも下からも紫外線を受けるので、通常の2倍近い紫外線を受けることになります。寒いと油断しがちですが、スキーやスノーボードを楽しむ時は日焼け止めクリーム等で「雪焼け」対策を万全にしましょう。強い紫外線から目を保護するため、ゴーグルや帽子などを装着することも大切です。


雪の重さ
 一粒の雪はとても軽いですが、塊になるとかなりの重さになります。湿った雪が10メートル四方の屋根に10センチ積もったときの重さは、およそ1トン。高さ1メートル(100立方メートル)では10トンにもなります。雪かき、雪おろしをおこなう際は、落雪事故を防ぐためにも複数の作業者で。

七草がゆ
 七草は、寒い中で芽吹く生命力の強さから邪気を払い万病を除くといわれ、七草がゆとして食べる習慣があります。鉄分がたっぷりのセリ、熱を下げるナズナ、ゴギョウ、栄養が豊富なハコベラ、オトケノザ、唱歌を促進するスズナ、スズシロ。七草には野菜が乏しい冬場に不足しがちな栄養素を補うという効果があります。おせち料理で疲れた胃腸の回復にもよさそうです。

寒の内
 1月6日は二十四節気の「小寒(しょうかん)」です。小寒から二月三日の節分までは「寒の内」といわれ、1年で最も寒い時節とされています。今季は12月下旬から強い寒気が南下し、日本海を中心に大雪となりました。7日も強い冬型の気圧配置が続く見込みです。日本海付近には寒気が流れ込み、厳しい寒さが続きますので、万全の寒さ対策をしてお過ごしください。

雪の保温効果
 雪には保温の効果があります。気温がいくら下がっても、雪の下の温度は0度くらいまでしか下がりません。かまくらの中が暖かいように、雪には熱を伝えにくい性質があるのです。これを雪国では野菜の保温に利用します。大根やニンジンに「むしろ」をかぶせ、その上に雪を積もらせると、気温が下がらず温度も一定に保たれるので、野菜を新鮮なまま保存できるのです。

おせち料理
 お正月を彩るおせち料理。もとは「お節供(おせちく)」と呼ばれ、季節の変わり目に供え物としていたものが、今では新年のごちそうのみを「おせち」と呼ぶようになりました。それぞれの料理には夢や願いが託されています。黒豆は健康、数の子は子孫繁栄、栗きんとんは金運や商売繁栄などです。おせちを食べながら、新年の夢や願いを描いてみては。

初日の出
 初日の出や初詣の計画を立てている人も多いでしょう。北海道から九州の平地で一番早い日の出は、千葉県犬吠埼(いぬぼうさき)で6時46分です。山などの高い所は平地より早く見られ、富士山頂は6時42分です。ただ、元旦にかけて日本付近は強い冬型の気圧配置となり、日本海側の地方を中心に大荒れの天気となるでしょう。初日の出を見られる所は少なそうです。

日本海収束帯
 冬型の気圧配置になると日本海にスジ状の雲が広がります。このとき、朝鮮半島北部から北陸付近にかけて、日本海収束帯という太い雲の帯が延びる事があります。これは季節風が朝鮮半島北部の山にあたって分かれ、日本海で合流したときに発達するもので、大雪や落雷・突風などをもたらすことがあります。この雲が現れたら、本州の日本海側は要注意です。

クリスマス寒波
 毎年クリスマスのころは、日本付近は強い冬型の気圧配置となることが多くなります。大陸からの強い寒気が南下してくることで、北日本や日本海側の地域では雪が降りやすくなります。この寒気は「クリスマス寒波」と呼ばれ、日本に本格的な冬の寒さを運んできます。今年のクリスマスイブは、北日本を中心にクリスマス寒波による大雪に注意、警戒が必要です。

冬至の運盛り
 冬至に、ニンジン、だいこん、ぎんなん、など「ん」のつくものを食べて運を呼び込む「運盛り」という風習があります。かぼちゃも漢字で書くと南瓜(なんきん)、運を呼び込む食材のひとつです。縁起かつぎだけでなく、どれも栄養がたっぷり。「冬至冬なか冬はじめ」といわれるように、寒さはこれからが本番。栄養をつけて、冬の寒さを乗り切りましょう。

冬日と真冬日
 師走も中旬を過ぎ、すっかり冬らしくなってきました。これからはさらに寒さが増していきます。テレビやラジオの天気予報で「冬日」や「真冬日」と言った言葉が登場することも多くなります。「冬日」とは一日の最低気温が0度未満の日のことで、「真冬日」とは最高気温が0度未満の日の事を言います。これらの言葉を聞いたら寒さ対策を万全にしましょう。

飛行機雲が残ると
 12月17日は「飛行機の日」。この時期は飛行機が通ったあとに飛行機雲が多く発生します。上空に大陸からの寒気が流れやすいためです。この雲は飛行機の排気ガスに含まれる水蒸気が、上空で急激に冷やされて雲になったもの。飛行機雲が長く残るときは、上空に冷たい空気や多くの水蒸気があることを意味するため、天気が下り坂になることが多いと言われます。

マフラー
 首は温度の変化に敏感です。首が冷えると、大動脈を流れる血液が冷えて体全体が冷えてしまいます。逆に首を暖めると、手や足の指先まで温まります。また、暖かい空気は軽いため首元へ上がります。マフラーを首に巻くことで、首元から暖かい空気が逃げるのを防ぐことができます。この先寒気の流れ込む日が多くなり、本格的にマフラーが活躍する季節となりそうです。

時雨
 晩秋から初冬にかけての日本海側は「時雨」の季節。時雨とは、晴れるかと思えば雨や雪が急に降り出し、降るかと思うとたちまち晴れる天気をいいます。大陸から吹く北よりの風が日本海を渡るとき、水蒸気をたっぷりもらって対流性の雲が発生し、次々と通過するために起こります。

大根
 冬が旬の「大根」。大根は消化を促進するジアスターゼなどを豊富に含み、おなかに優しい食材です。芝居の下手な役者を「大根役者」といいますが、それは一説には「いくら食べてもおなかをこわさない(あたらない)」ということからきているのだとか。胃もたれや二日酔いにも効果がありますので、忘年会シーズンに最適。お酒とともに旬の大根の甘みを楽しんでみては?

冬の海
 冬は海の水が澄んで、とてもきれいに見えます。日差しの力が弱まると、海水の温度は徐々に低くなります。それに伴ってプランクトンの発生が抑えられることで、海水の透明度が増すのです。また、空気の乾燥する冬は、空も青みを増します。青空との相乗効果で、海がさらに映えるのかもしれません。穏やかな晴れた日には、静かに冬の海を眺めるのも良さそうですね。

師走   12月/1日
 今年も残り1カ月。12月の異称「師走」は、師匠の僧があちこちと忙しく走りまわるところからきているといわれています。今年の師走は、初めのうちは寒気の南下が弱く、気温が平年より高めの所があるでしょう。中旬以降は寒気が南下し、気温は平年並みか下回る所が多くなりそうです。冬本番を迎えてから走り回ることのないよう、年末の準備はお早めに。

部屋で日なたぼっこ
 晩秋から初冬にかけては、日なたぼっこに最適な時期です。太陽の位置がどんどん低くなるため、窓からの日差しが部屋の奥まで入るようになります。このため、部屋全体がポカポカと暖かくなります。日差しには大気を暖めるだけでなく、紫外線による消毒の効果もあります。部屋で日なたぼっこをするのは気持ち良さそうです。

柿根性(かきこんじょう)
 軒先などに干し柿が揺れる季節になりました。日差しと乾いた空気、適度な風がおいしい干し柿を作ります。渋柿も干せば甘くなることに由来して「柿根性(かきこんじょう)といえば柔軟で変わりやすい性質を意味するそうです。その反対は[梅根性」。煮ても焼いても漬けてもすっぱいことから、思い込んだら変わらない性質を意味するそうです。あなたはどちらですか?

紅葉
 里でも紅葉の便りが聞かれるようになりました。紅葉の最盛期は、最低温度が8度以下となった日から3週間後が平均的な目安となっており、今年は11月4日でしたので25日ごろとなります。 紅葉は育つ場所により遅早があります。同じ植物園内でも日当たりが良い所から紅葉します。同じ木でも、日当たりのよいこずえから始まり、順に内部まで紅葉してゆきます。

日照時間の逆転
 この時期(11月8日)、太平洋側と日本海側で日照時間の長さが逆転します。東京と新潟で比べると、10月は新潟の方が長いですが、11月は東京の方が長くなります。日本海側は「弁当忘れても傘忘れるな」という言葉があるほど、変わりやすい天気が続くようになり、雨や雪の日が多くなります。

霜月  
 11月。別名「霜月」で、霜が降りる月といういみです。霜は、空気中の水蒸気(気体)が冷たい地面付近で氷(個体)になったもの。物質は通常、気体→液体→固体と変化しますが、霜の場合は気体から直接個体になる「昇華」という変化が起こり、細かい結晶が現れます。よく見ると雪の結晶のような樹の枝や六角形などさまざまな形を愉しめます。

木枯らし1号
 日本付近は西高東低の気圧配置に。東京地方では、「木枯らし」と呼ばれる強い北風が吹くかもしれません。木枯らし1号は東京と近畿で発表されますが、東京の発表条件は10月半ばから11月末日の期間、西高東低の気圧配置のときに、西北西から北の強い風が吹くこと。最近は10月中に発表されることは少なく、今日東京で発表されれば、10年ぶりのことです。   2010.10/27

秋そばの季節
 そばは「春そば」、「秋そば」と旬が2回あります。今、出回っているのは「秋そば」で、収穫、味、香り、色ともに「秋そば」の方がよいといわれています。そばはビタミン類や良質のタンパク質、必須アミノ酸を多く含み、栄養満点です。しかも、そばのたんぱく質には体脂肪をつきにくくする作用があります。おいししくへるしーやな「秋そば」を味わいたいですね。

霜降
 今日は二十四節気の「霜降」です。北国では霜が降りるくらいに冷え込む季節となりました。霜が降りやすいのは、露や霧と同じで、晴れて風の穏やかなとき。放射冷却現象により朝晩の気温が大きく下がり、空気中の水分が冷やされて氷の粒となるためです。今年は比較的暖かい秋になっていますが、北海道では初霜が観測されるなど、次第に秋がふかまってきました。 2010.10/23

秋イワシ
 秋の空には「いわし雲」と呼ばれる巻積雲が見られることがありのすが、地上でも秋はイワシが旬の季節。秋イワシは、脂がのっていて1年で最もおいしく、刺身に最適。吹きの夜長に、晩酌のお供としていかがでしょうか。ただ、イワシは傷みやすい魚。名前の由来は「弱し」だという説もあり、漢字で書くと「魚」に「弱」。調理は鮮度を保つため、手早く行いましょう。

一三夜
 今夜は一三夜です。旧暦9月13日の月です。旧暦8月15日の一五夜とともに美しい月とされてきました。一三夜の月見は日本古来の習慣で、一五夜のあとに月見を楽しむため「後(のち)の月」といわれます。また、収穫の時期にあたるクリや豆を供えるので「栗名月」や「豆名月」ともよばれています。  2010.10/20

来春の花粉予測
 日本気象協会発表の「来春の花粉飛散予測」によると、来春は花粉の飛ぶ量が例年並みか例年より多い傾向です。花粉の飛散数を決めるのは前年の夏の天候。今年は記録的な猛暑となり、日照時間が例年より多かったことから、花芽の成長が促進されました。飛散量の少なかった今年に比べると、2倍から10倍にも。早めに対策して、少しでも症状を和らげたいですね。 10/18

サシバの渡り
 ソシバはタカの一種で、夏は本州付近で子育てをして過ごし、冬は東南アジアで過ごす渡り鳥。秋になると、本州のあちこちで小さなサシバの群れが集まって大きな集団となり、沖縄を経由してフィリピン方面にわたります。サシバが日本を去るといよいよ秋本番、そして冬に一歩近づきます。  10/17

洗濯のタイミング
 秋晴れは絶好の洗濯日和ですが、一日中カラット乾かせるわけではありません。この時期は、朝晩の気温がグッと下がります。空気の中に占める水分の量が減って湿度が高くなり、露を結ぶことがあります。晴れて洗濯日和のときは、昼間に洗濯を済ませたら、夕方までに取り込み、カラッと乾かせるタイミングを逃さないようにしたいですね。

葉っぱの衣替え
 北から木々の葉が赤く色づき始めています。秋になると、葉を落とす準備のために葉と茎の間に仕切りが作られ、これにより葉が光合成で作り出した糖分の移動が断たれます。そして、葉の中に残された糖分からアントシアンという赤い色素が作られます。これがたまることで、葉はきれいな赤に衣替えをします。この夏の記録的な猛暑の影響で紅葉の遅れが気がかりです。 10/15

スポーツの秋
 スポーツに適した気温は20度前後と言われています。スポーツの秋というように、これからの時期は運動をするのに最適です。オススメはウォーキング。紅葉をたのしみながら、気軽に取り組むことができます。ウォーキングのコツは、姿勢をまっすぐに、リラックスして行うこと。脳の活性化やストレスの解消、生活習慣病の予防やストレスの解消、生活習慣病の予防や改善などに効果が期待できます。 10/11

柿が赤くなると
 「柿が赤くなると医者が青くなる」といわれるほど、栄養満点の柿。ミカンやイチゴに劣らない量のビタミンCを含み、そのほか、カロチンやタンニンなどを豊富に含んでいます。ビタミンやタンニンが血液中のアルコールを体外に排出するため、二日酔いにも効果が。朝晩は大分冷えるようになって、体調管理の難しい季節。風邪予防に柿はいかがでしょう。

寒露
 10月8日は二十四節気の寒露(かんろ)です。草花に冷たい露が宿るという意味で、秋の長雨が終わり秋も深まり始めるころです。暦の上では早くも晩秋です。高い山では紅葉が始まり、夏鳥や冬鳥の渡りが盛んになります。日中はすごしやすい日が続きます。朝晩は日ごとに気温が下がり、昼間と朝晩の温度差が大きくなります。体調を崩さないようにご注意ください。

霧の季節
 霧は俳句の世界で秋の季語です。秋は日本付近を高気圧と低気圧が交互に通過します。高気圧に覆われて秋晴れになると、夜は冷えて内陸を中心に霧が発生しやすくなります。夏の「移流霧」「海霧」に対し、「放射霧」「盆地霧」と呼ばれます。川が流れているところでは「川霧」も加わって、いっそう深い霧になります。幻想的な風景ですが、車の運転などにはご注意ください。

3日の晴れなし
 秋は何をするにも快適な季節です。高く澄んだ空は気持ちのよいものですが、実は秋晴れは長続きしません。「秋に3日の晴れなし」ということわざがあるように、数日の周期で天気が変わります。これは、低気圧や移動性高気圧が交互に日本付近を通過するためで、天気の変化が早いのが秋の特徴です。洗濯や布団干しなどはタイミングを逃さないようにしたいですね。

夏鳥から冬鳥へ
 渡り鳥がバトンタッチする頃(10月上旬)。春に日本に渡来して子育てをしたツバメなどが去り、マガンなどの姿がちらほら見られるようになりました。冬鳥は、大陸の高気圧が日本付近に張り出す時に吹く北よりの風をうまく利用し、何千キロも離れた北の地からやってきます。冬にかけてハクチョウやツルなども次々に渡来し、私たちの目を楽しませてくれそうです。

人工衛星
 9月4日は宇宙開発記念日。1957年9月4日、旧ソ連が史上初めて人工衛星の打ち上げに成功しました。現在、日本では気象観測のために「ひまわり」という人工衛星を使用しています。「ひまわり」という愛称は、「宇宙に花開け」という願いを込めて、「上空でいつも地球を見つめている、太陽をイメージするような花の名前を」ということできめられたそうです。

日がさと月がさ
 太陽や月の光が巻層雲(けんそううん)と呼ばれる薄い雲で屈折や反射をすると、太陽や月が光の輪をまとったように見えるときがあります。これを「日がさ」や「月がさ」といいます。天気が下り坂の時に巻層雲が現れやすいことから、「日がさ月がさは雨の兆し」とも。天気が下り坂のとき、日がさ月がさが見られるかもしれません。

10月  神無月
 陰暦10月の異称「神無月(かんなづき)」は全国の神々が出雲大社に集まり、諸国に神様がいないという説があります。ただ、雷が鳴らない月という意味の「雷無月(かみなしづき)」から転じたという説も。夏は気温の上がる内陸部、冬は大陸からの寒気が入る日本海側で雷が発生しやすくなります。秋半ばの10月は比較的雷が少なく、雷無月ともいえそうです。

読書の秋
 秋分の日から1週間がたち、夜の時間が昼より長くなっています。夜が長くなる秋は読書に最適と言われていますが、気温も関係します。ゆったりりと本を読むのに適している気温は20度から25度、仕事の本や、参考書など頭を使う本を読むときは18度くらいです。最近は、全国的に最低気温が20度を下回るようになりました。秋の夜長に読書はいかがでしょうか。

マツタケ
昔から「イネ不作はマツタケ豊作」といわれ、 米とマツタケでは豊作になる気象条件が逆のことが多くなっています。マツタケが豊作になる条件は秋に雨が多く降ることです。マツタケは地面の温度が19度から15度の間に成長して、この時期に降水が多めの年はたくさん採れるそうです。高根の花ならぬ高値のマツタケですが、秋の味覚の王様を味わいたいですね。

ヒガンバナ
 彼岸の中日に咲く花。今年は彼岸の中日以降に咲き始めたところが多くなっています。ヒガバナは暑い夏と涼しい秋の温度差に反応して咲くため、残暑の長引いた今年は開花が遅れたのかもしれません。花が咲いている時に葉はなく、花が枯れた後に葉をつけるため、花と葉が出会うことはありません。でもお互い思い合っていると考えられ、「相思華」という別名があります。

衣替えは慎重に
 昼間も涼しくなると、一気に夏服を片付けてしまいたくなりますが、まだ油断できません。気象庁は10月1日ごろからの1週間は気温が平年よりかなり高くなると発表しています。西日本では30度近くまで上がる日もありそうです。衣替えの時期ですが、夏服はすべてしまわず、少しのこしておいた方がよいかもしれません。

モズ 実はスズの仲間
 西日本と東日本ではモズの高鳴きが聞かれます。これは縄張り争いの声で、縄張りが決まるまで続きます。モズといえば獲物をとがったものに刺す「はやにえ」。小鳥やネズミもその対象もにするという。どう猛な印象から、昔はタカの仲間とされていたようです。しかし、意外にも主食は虫で木の実を食べることも。実際はタカではなく、かわいいスズメの仲間なのです。

初冠雪
北海道の山々は一足早く冬支度をはじめています。9月22日は旭岳で、24日は羊蹄山や利尻山で「初冠雪」が観測されました。初冠雪とは山頂付近が初めて雪で白く見えたときのこと。観測者のいない山の初雪はわかりにくいため、ふもとの気象台などから初冠雪の観測を行います。本州では初冠雪が早いのは富士山。甲府地方気象台からの観測の平年日は10月1日です。

彼岸を過ぎると
 「寒さ厚さも彼岸まで」は、春の彼岸を過ぎれば暖かくなり、秋の彼岸を過ぎれば涼しくなるという意味です。秋の彼岸の中日である秋分の日を過ぎる頃から、北からの空気に入れ替わります。とくに、今年の夏は記録的な暑さだったこともあり、なおさら涼しく感じられます。季節は北から確実に秋本番へ向かっています。

秋分の日
 昼と夜の時間が同じになるといわれていますが、厳密には昼の時間の方が少し長めです。理由は、大気による屈折で太陽の位置が実際より上に見えること、太陽の上端が地平線と一致した時刻を日の出入と定義していることです。たとえば、東京の昼の時間は夜に比べて8分長く、昼と夜の時間が同じになるのは4日後になります。

中秋の無月
 中秋の名月は、旧暦8月15日の月は十五夜とも呼ばれ、古くから美しいとされてきました。ススキとともに里芋を供える風習があるため「芋名月」とも呼ばれます。ただ、秋の長雨の時期で月が雲に隠れて見えないことが多く、「中秋の無月(むげつ)」と名月を惜しむことばもあります。

秋の花粉症
 花粉症と言えば春のスギ花粉がよく知られていますが、秋にも花粉症があります。ススキやブタクサ、ヨモギなどの花粉が主な原因で、この時期にくしゃみや鼻水が止まらない方は秋の花粉症かもしれません。秋の花粉症は春の花粉症より飛散量が少なく、遠くまで飛びません。秋の花粉症の方は、原因となる植物が群生している空き地や河川敷に近づかないようにしましょう。

秋の夜空
 秋の気配が漂ってきたころ、夜8時頃の頭上には別れを惜しむかのように夏の大三角形が輝いています。一方夕暮れ時の西の空には近世、東の空には木星が、はっきりと見られます。とくに注目したいのが木星。今は木星特有のシマ模様が一本消えているのです。これは数年前から10数年の周期で起こること。秋晴れの日、望遠鏡をお持ちの方は観察してみては。

秋の雲
 秋は空気が澄んで、空が一段ときれいに見えます。秋の雲として「さば雲」「いわし雲」「うろこ雲」といった魚の名前のついた雲がよく知られています。これらは呼び名は違いますが、気象の世界ではどれも同じ「巻積雲」。区別の定義はなく、見た目の様子で区別できます。低気圧が近づいてくる時に現れることが多く、天気が下り坂に向かっている前兆ともいえます。

秋雨前線
 夏の主役だった太平洋高気圧の勢力が弱まり大陸の高気圧が強まると、夏の暖かい空気と秋の冷涼な空気がぶつかり秋雨前線ができます。
 秋は澄んだ青空が広がり、さわやかな天気の印象が強いですが、秋雨前線の影響をうける初秋はどちらかといと天気のぐずつくことが多いようです。大陸の高気圧の勢力が強まり秋雨前線が南下すると、本格的な秋の到来となります。