楽しく、安全な山歩きを楽しむために



山歩きのテクニック

山歩きの基本について少し復習してみたいと思います。
まず出発する前には必ずトイレ済ませておきましょう。
山歩きは日常生活と少し違うので出来るだけ身軽にしておきましょう。
次に、歩き始めの30〜40分は意識的にゆっくり歩くように心がけることが大切です。疲れの元になる乳酸を出さないことがポイントです。
(先頭を歩くリーダーは特に注意を)

50分程度歩いては10分休むのが一般的といわれていますが、歩き始めは早めの休憩をとり、身体を山歩きに順応させることが大切です。
休憩時間は短めにして、休む回数を増やす方法もあります。
休憩中は身体をリラックスさせますが、いつでも出発できる体勢にしておきましょう。
出発に遅れる人は自己チェックが必要です。

歩くペースが早いと思ったら早めにリーダーに伝えることも大切です。
上手な歩き方は、歩幅はやや狭くして、登りは靴全体を地面に対して平行に置き、足にしっかり体重を乗せ重心移動をします。
呼吸は複式呼吸をするように心がけましょう。
下りは、必ず靴紐を締め直してから歩き始めましょう。
私の経験では、締め直しを忘れると解けなくても緩んでしまいます。
緩んだままトラブルが起きると、怪我の要因になります。

ストックは中高年には山歩きの補助具として必需品になってきました。
特に下山時には足や腰にかかる負担を和らげてくれます。

その反面使い続けることにより、バランス調整力を減退させるデメリットもあるので、目的を持って使用し、あくまで補助具と考えて使いこなすことが必要です。
女性は男性に比べると、どうしても筋力が弱く足の筋力(大腿四頭筋)が弱いために、急斜になると体重を支えきれず「下りは苦手」という人が多くなるようです。
筋力を鍛えるために、ストックなしで歩くトレーニングも必要です。
女性の山歩きを念頭において心得を整理してみましたが、いかがですか。


山歩きの際にアクシデントが起きたら

山での事故の原因は少し古い統計ですが、転倒がトップといわれていました。事故原因の7割を占める転倒や転・滑落は高山、低山に関わらず起こっているようです。
ぬかるみや岩、木の根ですべることも多く、特に下山中は注意が必要です。
私も昨年舗装されているが、濡れた路面で左足をとられて踏ん張った右の股関節を痛めてしまい、いまだに痛みが残っています。
注意をしていても思いがけなく身体を痛めてしまった場合には、我慢をせずにリーダーに伝えることが大切です。

パーティと同一行動が出来ない場合には、サブリーダーや親しい仲間がサポートして別行動をとっても安全を確保することを確認しております。
無理をすると、かえって多くの仲間に迷惑をかけてしまうかもしれません。
応急処置をとり、次善の策をとっていく様にしていきたいと思っています。


おしゃれな服装選び(女性のための)

おしゃれな下着として、化繊100がべとつかなくてよい。
冬はポリプロピレンがよく、スリーシーズンとしてはポリエステル素材でダウロン70%・綿30%が良いそうです。
ズボンは、ファッション性もあって年々変化しているようですが、毛と化繊の混紡で特に膝に負担がかからないフリースがよく、初心者はダウンQが良いそうです。

防寒着は天候に関係なく雨具を活用すると荷物を軽減することが出来ます。
手袋は、防寒用としてポリプロピレン薄手やフリース(薄・中厚手)など化繊素材が良い。夏でも亜高山より高いところは防寒用が良い。
軍手は雨が降ったりして濡れてしまうと機能しなくなってしまうので、出来るだけ使用しない方が良い。
楽しく、安全な山歩きを続けていくためには自分自身の管理によって、トラブルが発生しないよう日ごろの努力が大切です。
ベテランの登山家のアドバイスを掲載いたしました。

年々高齢化していきますので、こんなはずではなかったことが起きています。
今後もアドバイスを掲載していきますので参考にしてみてください。

山歩きと飲食について

今回は食べたり、飲んだりのことを少し考えてみます。
登山行動は、日常のほぼ1.5〜2倍のエネルギーが使われるといわれています。
エネルギーが不足すると思考能力が低下して、集中力が散漫となり、些細な事で転んだりして怪我の要因ともなります。

安全な行動を続けるためには、使ったエネルギーを随時補給しておく必要があります。
まず、出発前の朝食はしっかりと水分もたっぷりとってから集合してください。
ご飯(おもち)や味噌汁が良いようです。
朝早い時には大変ですが、日ごろから心がけておくのもトレーニングです。
山歩きの楽しみの一つに「お弁当」があげられますが、気象状況などでゆっくりと「お弁当」を楽しめないこともあります。
空腹にしないために、休憩の都度こまめに少量ずつの補給を心がけるようにしたいですね。これらは行動食になります。

コンパクトで軽く、腐りにくく、くずれにくいもので消化吸収の早いものをポリ袋に包んで、取り出しやすいザックの雨ブタに入れておくと良いでしょう。
果物やゼリーのような食べやすいものも良いですね。
あれもこれもでは、加重になるので選んで持っていくのも楽しみのひとつです。
(酢昆布・大福・甘納豆・チーズ類なども)
水分補給は、休憩の都度補給するように心がけましょう。

「トイレが心配」と控える人がいますが、夏山では1時間で0.3〜0.5リットルの水分が汗となって失われていくそうです。(4時間では1.5リットルくらいも)
この水分を補給しないと血液が濃縮され、事故の要因となり、体調を崩す原因ともなります。
水分が失われると体温調節や運動機能に影響が出てきます。

不足したまま運動を続けることは難しくなり、脱水症状になってしまいます。
脱水状態になったときに、5℃位の冷えた水が最も身体を通過しやすいそうです。
出発前に必ずトイレを済ませておくことも水分補給には大切なことですね。


体力づくりについて
近郊の山歩きを始めて10年ほどになりますが、このところ海抜436.6mの山に毎週出かけるようにしています。
最近、参加するようになったある女性は、慣れた人たちに付いていくのがやっとだったのが、現在では仲間と会話をしながらの山歩きを楽しんでいます。
基本は「無理せず、楽しく、ゆっくりと」そして続けることが大切です。
でも、早歩きもしましょう。
登山に必要な体力は持久力と柔軟性といわれています。
急に過激な運動をはじめたりすると、心臓に負担がかかったりひざを痛めたりすることがあります。
そこで、お奨めが日常の早歩きです。意識して、歩幅を大きく、手を軽く振って歩きます。知人から「貴女、この頃歩くのが早くなったわね」と言われるくらい。
運動の強さとしては、気持ちよく体が温まり、心拍数110〜120位(15秒で30)を目安にするといわれています。
30分以上は続けましょう。キツイときは無理をせず時間やペースを調整しましょう。

運動が筋肉に与える効果はせいぜい3日間くらいといわれています。
週に2、3度は歩きたいですね。
散歩、通勤、買い物などの日常生活にうまく組み入れることにより習慣になります。


坂道、階段を選ぼう。

私は街に出かけたときに、エスカレーターやエレベーターを避けるようにしています。
勾配のあるところは使う筋肉が異なります。
若い人は階段を避けている人が多いので、将来どうなってしまうのか気になることが度々あります。最初はグット我慢して階段を登り、下ってみましょう。
トレーニングジムに通って、体力維持を図るようになって気がついたのですが、楽しい運動には参加しますが、腕立て伏せや腹筋運動などは少し避ける気持ちがありました。
自宅でも簡単に出来る腕立て伏せや腹筋運動は地味ですが大切です。
シェイプアップにも役立ちますので少し時間をさいてみませんか。
最後に、運動の後には必ずストレッチをして筋肉をほぐしてやって
ください。

山でのトイレのマナーを

夏山合宿が近づいてきました。
このシリーズでトイレのことは触れてきましたが、体調を整えるためにも大変大切なことです。
どうすればいいの!

素朴ではあるがなんとなく大きな声で聞けない疑問を持っている方もおられると思います。
登山口を出発したら小屋までトイレがない、あるいはまったくトイレの施設がない山域もたくさんあります。
出発直前に済ませておいても、生理現象ですから我慢にも限界があります。

やもうえない場合にはリーダー・サブリーダーにその旨を話してパーティから離れましょう。
目的がわかっていれば、他の人が来てもうまくカバーしてくれます。
しっかりした目隠しがされる場所がないからといってあまり登山道から離れるのは危険です。
植生のことも少しは考えましょう。

トイレのマナー5ヶ条

「山を歩いているうちにトイレに行きたくなったらどうしよう」などと考えはじめると、不安で前夜から水分摂取を控えたくなりますが、登山というハードなスポーツをする上では身体によくありません。
普段より多目の水分を意識的に摂取し、スムーズに排せつすることが重要なのです。
しかし、人間の排せつ行為が、野生動植物には悪影響を及ぼし、水源を汚染し、景観を損ねてしまうことも自覚する必要があります。

山に行くときには次のことを実行いたしましょう。
1.            出発前には用便を済ませておく。
2.            ペーパー、生理品は分別して、持ち帰る。
3.            出来るだけ水流から離れる。
4.            1ヶ所に集中しない。
5.            軽く穴を掘り、埋め戻す。

山を歩くときに心がけておきたいことを掲載いたしました。

参考にしていただいて、少しでも楽しい山歩きにしたいものですね!

                           ゆうゆう山楽会事務局長 仲小路浩

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