フレンズ便り第10号 2003年6月

「高次脳機能障害支援モデル事業」中間報告
 最近の救命医療の進歩によって、交通事故や脳血管疾患などにより重度の脳障害を受けても、救命されるようになりました。
 こうした患者には、年齢の若い者が多く含まれており、復学や就労などの社会参加の方策を探る事が求められますが、認知・記憶障害や情緒・行動障害など、身体機能以外の後遺症により、社会復帰が困難な状況に有ります。
 こうしたことから、厚生労働省においては上記モデル事業を平成13年度から3ヶ年計画で実施しており、本年4月に中間報告書が公表されましたので、その概要を述べます。
  1. 先ず調査概要として、324名の対象者を5ヶ月間にわたって調査した。その結果、平均年齢33才、男性78%、女性22%、障害手帳所持50% 障害状況は記憶障害88%、注意障害78%、遂行機能障害74%、認知障害に属するもの50%であった。
    統一した検査方法は無かったので診断基準(案)を作成した。
  2. 訓練(リハビリテーション)の状況は、主に利用する機関として病院62% 身障者更生援護施設26%ほかで、効果として注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などは5〜10%の者が改善、記憶障害などは大きな改善はみられなかった。
    今回、標準的訓練プログラム(案)・訓練事例集をまとめた。
  3. 地域生活における支援の状況は、主に利用する機関として、病院38%、更生援護施設28%、福祉センター9%、小規模作業所9%、身障者通所授産所8%、その他。
    今回、支援ニーズ判定表(案)・支援事例集をまとめた。
  4. 今後の予定として引続き、試行的に訓練や支援を実施する。
今後の課題として
1)対応の体系化:受傷・発症から地域生活に至までのニーズに対応した一連の流れを整理
2)医療サービスに関する対応:急性期の対応、回復期の対応、高次脳機能障害の有無の診断
3)福祉サービス等に対する対応:社会福祉施設、地域、就業・就学、権利擁護の対応
4)適切な情報の提供:国民の啓発、行政・医療・福祉など関係者への対応

 以上ですが、本年で支援モデル事業が終了し、来年度から制度としてどの様に運用されるか、引続き今後の動向を注視して行きたいと思います。

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