フレンズ便り 第31号 2007年9月 「サークル・フレンズ」

 

 脳損傷者・家族のニーズにどう応えるか
   〜オーストラリア・クイーンズランドから学ぶ〜


<「サークル・フレンズ」事務局からの視点>

 平成19年7月1日(日)NPO法人「脳外傷友の会みずほ」設立10周年記念事業として「高次脳機能障害特別講演」が開催された。
 講師は、クイーンズランド脳損傷者協会(BIAQ)の事務局長ジョン・ディキンソン氏である。午後2時半から5時まで、通訳付きの講演で、オーストラリアの民間団体として、どう成長し成功したか、脳損傷者の支援、行動障害への対応の仕方等、事例を交えての講演であった。

 その要点と、これからの活動の参考点を要約する。
〔1〕オーストラリアでBIAQが先導的な役割を果たすには
  1.革新的2.国の助成金は当てにならない3.サービス提供は企業的アプローチで4.戦略的な方法で5.ロビー活動は一つのテーマに絞って6.他の団体より必ず上手くやる。等がキーワード。

〔2〕成功するための方法を検討し、実行することが大切
  1.広報物、刊行物の質を高め、内容を改善する。
  2.脳損傷者の知識を判りやすくまとめ、配布する。
  3.相談事業、サービス提供の質の改善を図る。
  4.役に立つ且つ親しみやすいウエブサイトの立上げをする。

〔3〕脳損傷者の問題行動(社会的行動障害)の対応プロセスは
  1.専門職員の雇用と1年間の研修によるライフサポートサービスの確立。
  2.問題行動に対する専門訓練プログラムの開発。
  3.有償サービス実施の成功事例作りにより、政府が注目。
  4.他のサービス提供事業者が、訓練プログラムを利用。
  5.地域ごとのスタッフトレーニングの必要性を国へ働きかけ。(補助金額がアップした)

〔4〕問題行動のある当事者の具体的アプローチは
  1.当事者を理解する、当事者の立場になって質問する。
  2.当事者と全ての利害関係者の信頼関係を築く。
  3.当事者の行動を変えるための動機付け。(良くなることを上手に知らせ、納得させる)
  4.全ての関係者を援助プログラムに参加させる。(チームで支援する)
  5.実行するのは一つずつ行い、結果を記録し吟味する。
  6.2年程度かけて、家族も含めて行動を変えていく。

〔5〕講演の感想
  1.BIAQが成功した大きなポイントは
   ・サービスを開発、提供するために企業的アプローチをしたこと。
   ・政府の脳損傷者に対する意識をかえるためのロビー活動を粘り強くやったこと。
   ・啓発資料の発行と、専門支援員向け訓練プログラム開発及びその活用による成功事例作り。
   ・他地域への訓練プログラムの普及と人材育成の取組み。
   ・自立生活支援としての「サービス・ハウス」の運営、ノウハウの蓄積。
  2.「サークル・フレンズ」として今後取り組みたい事
   ・地域での良き理解者、支援者を増やすこと。(県レベル、市レベルとも)
   ・自立支援法の利用による問題点の抽出と対策案の検討。
    その問題、対策案の共有(当事者、家族、支援者、サービス提供者等の利害関係者全員)
   ・その対策を、一貫性をもって継続的に行うこと。6ヶ月〜1年程度の記録、結果観察を行い、
    改善出来たこと出来なかったを整理、反省し、以降の改善プログラムに活かし、実行してみる。
    この繰り返しを継続する。

以上の取組みは、今年度の瀬戸市市民活動促進補助金事業にも合致するため、一歩ずつ直実に進めて行きたいと考えている。
*今年度の補助金事業テーマは「高次脳機能障害の啓発活動による支援ネットワークづくり」。
(「サークル・フレンズ」事務局
 


<ボランティアの視点>

・支援グループの1ボランティアの立場で話を伺っていると、かなり専門的な話で、どこをポイントとして理解すべきか正直少しむずかしい話でしたが、これからのフレンズのあり方にとって参考になるところも多くありました。
・“いかにして組織として成長してきたか”ノウハウはないと語られていましたが、私なりの解釈では、現状の課題を具体的に分析し、ひとつずつの課題を1ステップずつ確実にクリアされてきた経緯が感じられました。しっかりした「運営の進め方・方針・理念」「共通認識」の必要性と、「具体的な計画」「着実な実行」「継続性」の必要性を感じました。
・特に印象に残ったフレーズは、
『脳損傷者に関する問題において、オーストラリアを先導していく立場として必要なことは何でもするという覚悟と信念』
『運営システムとスタッフ養成のレベルアップに力を入れる』『情報提供の方法の改善・吟味(ホームページ、雑誌など)、教材の改善を行う』などです。絶えず努力してみえる姿勢は、生半可な取り組みでは成功しないと言われているようでした。
・支援者の一人として日ごろの体験から得てきたことや知識として得てきたことは、日本とオーストラリアというバックグラウンドの違いはあっても、人を支援する事においては同じである事を認識しました。特に「われわれは、他者の行動を変えることはできない」「われわれは、他者の行動に影響を与えるような自分自身の行動を変えることはできる」「人の行動は、信頼関係のない人から影響をうけることはない」「肯定的なフィードバック」「チームで支援する」「一貫性を持たせる」など、支援者としては当然わかっているはずのことですが、あらためて再認識する良い機会でした。
・今、「サークル・フレンズ」に必要なことのひとつは、質の良い支援者の養成だと思いますので、クイーンズランド脳損傷協会の支援者養成プログラムをぜひ学びたいと思いました。


 楽しかった!福祉バス旅行

 去る6月4日(月)瀬戸市の福祉バスをお借りして、三重県伊賀市の「伊賀の里モクモク手づくりファーム」に行ってきました。
 当日はお天気にも恵まれ、総勢33人の仲間が大型バスに乗って出発しました。あいにくのリフレッシュ工事で高速道路は渋滞しましたが、車中では自己紹介をした後、森川先生の指導で歌を歌ったり、賑やかなおしゃべりが続きました。
 伊賀の里に到着後、papaビアレストランでバイキングの美味しい昼食を頂きました。このレストランではファームで作った野菜やハム・ウインナーを利用した沢山の料理が並びました。
「伊賀の里モクモクファーム」は環境やハム・ウインナーを利用した沢山の料理が並びました。
「伊賀の里モクモクファーム」は環境・体・心に優しいものづくりを目指している農園で、園内には「ジャージー牧場」「パンとお菓子の工房」「ミルクチーズ工房」「ウインナー専門館」「野菜塾市場」「地ビール工房」等たくさんの施設があります。
 昼食後、私たちも早速「ウインナー体験館」でウインナー作りの体験をしました。参加者全員がウインナー作りは初めてで、お土産のウインナーが美味しかった事もあり大変好評でした。
 その後の自由行動も、お土産を買う人・園内を散策する人・地ビールを飲む人など、思い思いの時間を過ごし、とても楽しいバス旅行になりました。

以下は仲間の感想です。
 ・ぶどう棚の下で食事(バイキング)した事と仲間としゃべった事が良かった。(T)

 ・ウインナー作りが楽しかったです。
 ・氷を入れてミンチ肉を混ぜるのにはびっくり!ミンチ肉を腸の中に入れるのも良かったです。
 ・お土産のウインナーを帰ってから食べてみたら、プリプリしていて肉汁がジュワーと出て、とても美味しかった。
 ・今回のバス旅行は、とても楽しかったです。(K)

 ・ファームのレストランはブドウ棚となっており、収穫された野菜、肉類の料理が沢山テーブルに並んでいるのをお腹一杯頂きました。
 ・又、ウインナーソーセージ作りの体験をし、お土産のウインナーを家で食卓に出したところ、家族皆美味しいと言って食べてくれました。(ボラ)

 マインドフェアに参加しました

  去る8月5日(日)、尾張旭市の「福祉マインドフェア尾張旭2007」に参加しました。
当日は地域障害者団体の皆さんと一緒にバザーをしながら、高次悩機能障害のPRチラシを配布しました。
数年続けて出店させて頂いたお陰で、知名度も上がったように感じられ嬉しかったです。
売上金:62.700円 ご協力ありがとうございました。

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