フレンズ便り 第49号 2011年4月 「サークル・フレンズ」

 
 平成23年度がスタートしました。

今年も「地域生活支援センター事業」を受託すべく、フレンズハウスの新規利用者登録の活動を継続します。後3〜5名程度必要です。高次脳機能障害に関するご相談も併せて行っていますので、気軽にお問い合わせください。

 “生活版ジョブコーチ派遣試行事業の2年目を迎えて”


平成23年2月17日、18日の二日間、名古屋市総合リハビリテーションセンターで、「生活版ジョブコーチ」中間事例報告会が開催されました。今年で2年目になりますが、参加は9団体で、15事例の発表がされました。昨年の事例発表の留意点を踏まえ、各団体とも進め方に工夫がみられ、成果も多く出ました。事例で取り上げられた「支援目標、支援項目」は、下記のとおりです。
 ・単独外出、通所が出来る:7件
 ・買い物、料理が出来る :4件
 ・一人暮らし、洗濯が出来る、メモリーノートをつける、各1件
最後に阿部先生(岐阜医療科学大学教授)から、事例発表に対するコメントと課題を、整理してお話しして頂きました。今後この事業を進めるための留意点や課題等を抜粋します。

<ジョブコーチとしての留意点について>
 @生活版ジョブコーチ(以下JC)の役割を考える
 AJCの支援期間は概ね3か月程度で完結する目標とする
 BJCの適用対象とする高次脳機能障害者はどのような人か
 CJCの効果的な介入時期はどの時期にどのような支援がふさわしいか
 D支援項目の設定、支援方策の検討:JCの集中支援期にしっかり聞き取り、プランニングする
 E家族へのかかわり:家族へのアドバイス、ストレスへの対応なども視野に入れる
<新たに提起された問題、課題について>
 @ヒントツール:本人の障害特性に合わせ、何がヒント(文字、写真、色等)になるか、有効かを考える
 A決めることが難しい場合の対応方法:本人が「決めることが難しい」場合など、選択肢を用意することが必要
 B障害認識:認識できなくても、生活の中で困っていることを具体的な形にし、本人と合意する工夫や「振り返り」を本人と一緒にする
 C出来ることの発見:訓練場面では難しいと思っても、生活の中で意外なことが出来る場合や経過の中で出来るようになることがある
 D全員一致のアプローチ:本人が混乱を生じないように、ヘルパーとの情報共有をし、家族も含めた全員一致の対応を心がける
今回の試行事業を通して沢山の成功事例報告と今後の課題が明確になりつつあります。
次回は制度設計のための学習会が開催される予定です。


 “看護専門学校の特別講師に招かれて”

去る1月27日、東濃看護専門学校で「高次脳機能障害について」の特別講師を務めました。学生さんには家族の立場から、高次脳機能障害の理解と、当事者や家族の直面している現状はどのようなものかを話し、理解を深めてもらえるよう事例DVDも見て頂きました。特に、高次脳機能が損傷するとどのような障害が現れるかを話し、昨日まで元気に働いていた家族が突然障害者になると、当事者はもちろん家族の生活まで一変することなどを話しました。そして、介護する家族への支援が大切なことも力説しました。『支える人の意欲、気力を維持するのは、心の余裕だと思います。そして家族としての役割は、当事者の回復を信じ希望を捨てずに支え続ける事に有ると思います』と。
後日、看護学校より感想を送って頂きましたので、一部を紹介します。
先生:
・教科書ではなく、実際の映像や体験談などの講義は、学生にとって理解が深まるだけではなく、 感性も揺さぶられるようです。貴重な授業を受けることができ。とてもうれしく思います。
学生:
・高次脳機能障害が若い人にも起こることを知り、びっくりした。
・高次脳機能障害を持つ人々、家族の苦悩がとても伝わってきた。命が救われた代償の大きさを感じる。
・改めて外見では伝わらないさまざまな障害があることを、話を聴き、映像を見ることで理解できた。
・支える家族は、その障害を受けとめるのに、どれだけの時間を必要とするのだろう。途方もなく長く感じるでしょう。 本人も家族も180度人生が変わり、違う人と暮らしているかと錯覚してしまうほどなのだろうと思う。 
・他の科目(在宅看護論、脳・神経疾患、老年看護学など)でも学習していたが、実際にビデオを見ることでイメージ がついて、理解が深まった。映像により、より詳しく高次脳機能障害を理解することができた。障害と向き合う本人、家族の苦悩、葛藤がわかった。
・障害があっても、さまざまなことにチャレンジし、できることも多い事に感心した。
・家族会の大切さを感じた。高次脳機能障害専門のリハビリ施設があることを、はじめて知った。周りに理解されない障害だから、患者も家族も苦痛が大きいように思う。精神的にもストレスが大きいと感じた。
・看護師として情報をしっかり取り、1人1人と関わり、どの部分はできるのかを知り、そこに働きかけることで、できないことを補い、根気強く関わることで変化が現れると思う。
・社会の受け皿がないという問題がとても気になる。外見では脳に障害があることがわからないので、なかなか、社会・地域に理解してもらえない。多くの人々の理解を深めていけるように活動したい。もっと地域全体で支えるようにしなくては。高次脳機能障害について、多くの人に知ってもらうことが大切だと思う。
・わかりやすい資料と映像で具体的にとてもよく理解できた。
<記 豊田幸子>

 家族勉強会を振りかえって

早いもので、年6回のペースで実施している家族勉強会が30回目を向かえた。
平成19年11月の第10回家族勉強会より、吉川雅博先生(愛知県立大准教授)にアドバイザーをお願いするようになってからは、勉強会のテーマが明確になった。
“家族の福祉に対する意識の向上”家族が福祉についての知識を得る事により、福祉制度や政策、高次脳機能障害への理解、ひいては当事者への理解が深まること。そのことが家族ケアに結び付くと考えている。
これまでに行った主なテーマ
・高次脳機能障害の評価と診断、自立支援法の関わり・・・名古屋リハ 長谷川真也氏
・地域生活支援事業の役割と高次脳機能障害への支援・・・
        社会福祉法人「愛光園」障害者総合支援センター 相談員  葛間雅由氏
・自立支援法と障害程度区分・・・・・・・・・・NPO法人「えとせとら」 江本由美子氏
・自立とは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・県立大学准教授 吉川雅博氏
・ICF「国際生活機能分類」について・・・・・県立大学准教授 吉川雅博氏
・「権利擁護」について・・・・・・・・・・・・・・・・県立大学准教授 吉川雅博氏
・当事者に対する家族支援について・・・・・鈴木茜巳 氏(元名古屋リハ更生施設指導員)
・グループホームについて・・・・・・・・・・・・・元アニモの家施設長 川上雅也氏
                         「笑い太鼓」グループホームの見学
平成22年度のテーマ
 5月:自立にチャレンジ・生活版ジョブコーチ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 吉川雅博氏・豊田幸子
 7月:事例検討その1 ICF(国際生活機能分類)のシート記入・・・・・吉川雅博氏
 9月:「フレンズ祭り」“脳について”の講和・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・吉川雅博氏
 11月:事例検討その2 ICF(国際生活機能分類)のシート記入・・・・吉川雅博氏
 1月:高次脳機能障害者の行動定着はどのように行うか・・・・・・・・・・名古屋リハ・長谷川真也氏
 3月:支援項目洗い出しシートでの事例検討・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・吉川雅也氏
こらからも家族勉強会を継続し、家族の福祉への関心を高めて行きたいと思います。
尚、家族勉強会は隔月(奇数月)年6回開催しています、関心のあるご家族はご連絡下さい。

 「フレンズ・ハウス」の活動より


<春の花を描きました>
絵手紙は楽しいです。今回は割り箸を使って絵を描き、面白い線が出せました!
<早朝のウオーキング>
2月の東谷山フルーツパークを歩いた。梅には少し早かったけど、ロウバイが満開だった。
<パソコンサークル>
目の不自由な先生と二人三脚でペイント絵を描いています。先生は私の言葉を聞いて、ステキナ詩を絵に入れてくださいます。他のメンバーはHPの更新にチャレンジしたり、CDの表に写真を貼り付ける勉強をしました。


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