フレンズ便り 第58号
 2013年1月 「サークル・フレンズ」

 
 新春のお慶びを申し上げます
 
 旧年中は、「サークル・フレンズ」の活動に多大なご支援・ご協力を賜りありがとうございました。
 昨年は、特に瀬戸・尾張旭地域で高次脳機能障害の啓発活動や・家族相談に取り組みました。また、活動拠点の「フレンズ・ハウス」においては、新たに地域福祉ボランティア活動助成金で‘さおり織り機‘を購入、利用者が楽しみながらリハビリを行い、障害の改善を目指してきました。
 本年は2月23日(土)に「高次脳機能障害セミナー」〜さらなる理解を求めて〜の開催をはじめ、地域に根ざした啓発活動やネットワーク作りに取り組んでまいります。
 昨年同様、皆様のご支援・ご協力を宜しくお願いいたします。

  中島八十一氏と重度問題で面談
 
 去る11月30日(金)、エコー会員の田辺、高橋、山崎、豊田(サークル・フレンズ)は、高次脳機能障害支援普及事業全国支援拠点の国リハに、中島八十一氏(国立障害者リハビリテーションセンター学院長)を訪ね、重度者の問題を中心に懇談しました。
 中島氏は、「これまでは就職・就学、復職・修学の可能性がある人をターゲットとしてきた。支援拠点も各都道府県にできた事で、形としては支援体制が整った。今後はもう少し重度で一人暮らしはできないが福祉就労が可能と思われる人たちや学童にターゲットを広げたい・・・そこで、皆さんに話を聞きたく来て頂いた。」と話されました。
エコーからは問題点を資料として提出し、説明しました。

【提出資料の概要】
○低酸素脳症等により重度の脳損傷を負った方の精神症状に対する医師の理解・対応と精神科医との連携を促進してください。
○重度高次脳機能障害者を医療機関、介護保険施設、障害福祉施設が受け入れらるようにしてください。
○重度者が地域で暮らす為には高次脳機能障害者を理解する生活支援者が不可欠です。重度高次脳機能障害者の潤滑な地域移行・安定した地域生活を確立するため、医療・福祉・行政機関等との連携の必要性を周知してください。

 私たちの思いを聞かれ、中島氏は「サークルエコーやフレンズの役目は行政では埋められないとても貴重な取り組み。」と言われた。
最後に「今日は、重度と言われる人たちが、何に困っているかを聞きたかった。久しぶりにそういう話が聞けた。重度なことは何かを確認できた。」と話された。
(記:豊田幸子)


  愛知脳損傷協議会主催の家族勉強会が開催されました
 
昨年の11月18日(日)尾張旭市中央公民館において、愛知脳損傷協議会主催の家族勉強会(瀬戸・尾張旭地区)が開催されました。
この勉強会は、高次脳機能障害者・家族に障害を正しく理解し、役立ててもらうことを目的に行われました。テーマは「高次脳機能障害者の理解と対応・対策」でした。
講師の加藤俊宏氏(NPO法人高次脳機能障害者支援「笑い太鼓」高次脳機能障害者支援センター施設長)が、高次脳機能障害者の概念や脳の仕組み、主な障害の症状や対応などを話されました。
以下概要の抜粋です。

○高次脳機能障害を理解するとは、
@障害とは個人に所属するものではなく、個人と、個人を取り巻く環境が接する際に生じる問題である。
A高次脳機能障害を有し、日常生活や社会生活への適応に困難を有する者の気持ちや立場を推し量る。この2点を理解することである。

○高次脳機能障害は、脳血管性の病気(脳出血、脳梗塞・くも膜下出血など)、脳外傷(交通事故など)、低酸素脳症・脳炎・脳腫瘍などから発症。
○高次脳機能障害の主な障害(発現率)と対応・対策
@記憶障害(90%):決まった位置に物を置く・スケジュール帳やメモを取り、必要に応じてみる
A注意障害(82%):こまめに休憩を取る・気づきやすいようにメモを張ったりタイマーを利用する。
B遂行機能障害(75%):物事を段取り良く行えない・仕事の優先順位がつけられないなど。
手順書や計画書など目に見える形で具体的な指示や手がかりを示す。
C社会的行動障害(81%):依存・退行、感情コントロール低下、欲求コントロール低下、対人技能拙劣、固執性、意欲発性低下など、一つ以上現れる人が80%いる。
環境を整え障害の気付きを促す。社会のルールに沿った責任ある行動を促す。周囲が対応を調節する。行動のスケジュール化で気付き促し定着を図る。
D病識欠如(60%):自分が障害を持っていることに対する認識ができない。障害認識へのリハビリが必要。
○家族への支援
家族が支援者として成長していけるように働きかけることが大切。
それには、@家族のつらさや訴えを共感的に聴くことで、家族のストレス軽減を図る。A家族に後遺症に関する知識を知ってもらい、対処方法や付き合い方をアドバイスする。B社会資源の上手な活用の仕方を助言する。
○支援の連携(連続した支援が必要)
医療、福祉、行政、学校・職場、家族、その他の機関が、同じ目的達成に向け共通した支援をする。
最後に、「高次脳機能障害者とは、失った社会生活能力の再獲得を目指す人たちです。」と結ばれた。


  「フレンズ・ハウス」の活動

織り上がりが楽しみです?
地域福祉ボランティア活動助成金で購入した‘さおり織り機‘はみんなの人気者です!
「NPO法人まごころ」の指導員さんがマンツーマンで教えて下さるおかげで、スタッフの上達も目覚ましく、そのスタッフに教えてもらって、利用者は自分のマフラーを仕上げていきます。「手・足・おさ・・・」と掛け声をかけながら。記憶や注意力の訓練にもなっています。
仕上がったカラフルな色のマフラーは、ボラさんや家族にも好評です。リクエストも多いですよ!

カレンダー作りに挑戦しました!
パソコンボラさんの助けを借りて、1年間の行事や自分の描いた絵を中心に、マイカレンダーを作りました。カレンダー作りを通して、1年を振り返ってみることもできました。世界に一つだけのカレンダーは自慢です。

手作りケーキでクリスマス!
クリスマス飾り(折り紙のサンタさんが一杯)で気分の盛り上がっている「ふれんず・ハウス」で、ちょっと早いクリスマス会食をしました。
さあ、準備をしましょう!献立は、鳥の丸焼きにイチゴショートケーキ、マカロニサラダにコーンスープなど、盛りだくさんですよ!
まず始めに皆でケーキの飾りつけ。生クリームを泡立てる人、苺やキウイ、バナナを切る人、それぞれに不慣れな手つきで頑張りました。
いよいよ3段階のケーキに飾りつけ、残すのはったいないばかりに、フルーツや生クリームを目一杯に入れました。写真を見て下さい、食べきれない大きさでしょ!
準備が整い、「かんぱーい!」テーブルに並びきらないほどのご馳走で、お腹は一杯。大満足の会食でした。


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