フレンズ便り第72号
2015年11月「サークル・フレンズ」

 
脳外傷リハビリテーション講演会に参加して参加して
去る10月31日、名古屋市中区役所ホールにおいて「脳外傷リハビリテーション講習会」が開催されました。
大部は基調講演、第部は当事者体験談でした。
私は、フレンズの行事と重なり基調講演のみの参加でしたが、日頃から関心がありながら、なかなか聴くことの出来ない精神科医による「脳損傷後に生じる精神症状と対応」について聴けたことは、大変参考になりました。

先生のお話しから、脳損傷後に良くみられる精神症状には、「幻覚、妄想」「衝動、攻撃」などが多くみられるが、実際には精神疾患で見られるほとんどすべての症状が脳損傷後に出現すること。また、精神症状とは言えないが、障害を負った後に体験した負い目、自信の喪失、自己価値観の低下などでも体験による障害がみられる事。

脳損傷を負ってストレスを抱えた人に対する治療として、薬物治療や心理社会的リハビリ、社会的支援、精神療法など多方面から精神症状の改善を図ることが必要であり、薬物療法だけでは効果は十分ではないこと。
障害を持ったために精神症状が表れているので、治療や援助をする方は言葉で励ますのではなく、誠意を払い、尊厳を尊び、役割を果たせるよう援助し、強みや長所を引き出して伸ばす。そういう態度で常に交流し続けること(精神療法)が大切である。
最後に「高次脳機能障害があっても、人間としての尊厳をもち、生き甲斐を実感し、役割をはたし、そして自己実現することが出来るはずです。」と締めくくられました。

私が特に関心を持った事柄は、薬物療法と言葉(リハビリテーション、リカバリー、ストレングス)のもつ意味でした。
薬物療法では、幻覚・妄想、気分症状、衝動、攻撃性に対する薬と効果について、詳しい説明をされました。薬の服用は、不安や恐怖が減り、焦りと苛立ちが減って、心のゆとりが生まれることや、脳損傷者は副作用が出易いため、小量投与が原則。また、副作用への対処方法なども話され参考になりました。

言葉では、リハビリテーションは訓練だと思っていませんか?(うなずく私がいました)リハビリテーションの語源は”もう一度人間らしく”ですよ!
精神科リハビリテーションの理念は精神障害を持つことが人間らしく生きることを困難にし、人間の尊厳を傷つけるものであると言う認識に立ち、あらゆる知識と手段を総動員して、障害者の「人間らしく生きる権利の回復」すなわち、全人間的復権」=リカバリー(回復)を目指すことです。
そして、リカバリー(回復)を達成するには、ストレングス(強み・長所)を評価し、伸ばすことが大切と話されたことでした。

今後はお話しを参考に、”問題は障害であって娘には何の問題もない”ことを理解し、本人を攻めないことを実践し、娘のさらなる回復を目指したいと思います。        (記 豊田幸子
『せと・まるっとパラアート』に向けて頑張っています!
第6回目となる「パラアートせと展」は、瀬戸市の「せと市民活動団体応援補助金」を受けて、『せと・まるっとパラアート』と名称を変更し、まもなく開催されます。
フレンズの仲間と手芸サークルのボラさんは、パラアート展用の大作完成に向けて頑張っています。
今年の作品は「おもちゃのチャチャチャ」と題して、さおり織りの布で作ったおもちゃ箱から折り紙で作ったおもちゃが飛び出してくる様子を表現したいとおもっています。
どんな作品が出来上がるのか?作っている私たちも仕上がりの作品は想像するしかありませんが、わくわくしながら針を持ち、おもちゃ箱をぬいつける等、皆で力を合わせて完成を目指しています。
皆さん、是非パラアート展に来て私達の作品を見てください。
また、今回は記念講演会も開催されます。
テーマは「バリアバリューから人生を変えるです。
”バリアバリュー”とは、障害をマイナスな事でも不幸なことでもなく、障害をもっているからこその視点を価値に変えることです。
秋の3大まつり
10月はお祭りシーズン、私たちも3つのお祭りに参加しました。
11日の「みんなの生活展」(瀬戸市)を皮切りに、12日は「尾張旭市民祭」、31日は「旭労災病院まつり」と「大忙しの日々でした。
中でも旭労災病院まつりはフレンズの仲間も参加して、大いに盛り上がりました。この祭りは病院が主催する健康祭で、健康に関するゲームや測定(脳年齢、骨密度、肌年齢など)、各種講演会(頭がどんどん良くなる食事、高血圧治療の第一人者が語る減塩、世界の病院食)、イケメン3人組による料理の実演コーナー等、盛りだくさんの企画が用意されていました。
私たちも高次脳機能障害のPRや自主製品のクッキー、手芸品の販売をする傍ら、紙コップを利用したパンダ作りを皆さんに楽しんでもらいました。パンダ作りの先生はY君、3ヶ月前から練習をして作り方を覚えました。Y君は上手に参加者をリードして、先生の役目をばっちりはたせました。
昨年にもまして盛り上がった病院祭りは、参加者全員がチャレンジする体験型のユニークなお祭りで、みんなで大いに楽しみました!!

◇ ミニミニ情報コーナー ◇
ロボットスーツについて
ロボットスーツは建設現場やのうさぎょうの負担軽減や災害対策費用などにりようされていますが、福祉用としてもかいはつされつつあります。
福祉用スーツは、装着する人の「意思」を感知して、立ち座りや歩行動作を助ける画期的な自立支援ロボットです。
私の所属する低酸素脳症の会(サークルエコー)の仲間に歩行が難しい人がいますが、その方の体にロボットスーツ(アクティブ歩行器)を装着し、機械の補助で立たせ、一歩、また一歩と歩き出せたとの報告もありました。このシステムは研究途中ですが、将来、自立を支援とするシステムに繋がって行くことでしょう。
車椅子の使い方について

皆さんは車椅子を押したことがありますか?車椅子を押すことくらい簡単だとおもっていませんか?車椅子を押すには結構体力が要りますし、危険なことも多いです。坂道を下るときは、後ろ向きになって車椅子を支えながら降ります。こうすることでの乗っている人の恐怖心や危険を防ぎます。踏み切りや砂利道で押すときは車椅子の前輪を上げて押します。前輪が線路の溝や砂利にはまって乗っている人に危険が及ぶことを回避するためです。
車椅子を押す機会があったときには参考にしてください。

障害基礎年金:都道府県で限定に差

病気やケガで一定の障害があれば障害年金があれば生涯年金が受給できる。しかし、昨年8月、厚生労働省調査で、障害基礎年金の申請が道められず「不支給」とされる比率に、都道府県で最大6倍の格差があること、特に精神障害や知的障害の判定で格差が大きいことが明らかになったこと、新聞各社は一斉に報じた。厚生労働省は調査結果を受け、「精神・知的障害に係る障害年金の認定の地域差に関する専門家検討会」を設置、本年2月19日を皮切りに、7月2日までに5回の検討会を開催している。
JD(日本障害者協議会)は、5月15にち、これらの問題は、障害年金の診断書が対象となる精神障碍者や、知的障碍者の日常生活をよく知らない医師によって、機械的に評価される場合があること、障碍者に対する受給申請における適切な支援がないこと、審査体制の不備などさまざまな要因が関係しているとして、社会保険の形式要件で受給できない者(無年金障害者)への救済措置を拡大するよう緊急要望書を送った。(サークルエコー会報60号より)
詳しくは、厚生労働省HP「精神・知的障害に係る障害年金の認定の地域差に関する専門家検討会」に掲載されています。
年金のみならず、地域格差は広がる一方で重大な問題です。関心を持って見守りましょう。
障害者向けグループホームについて

グループホームとは、身体・知的・精神障碍者が世話人等の支援を受けながら、地域のアパート、マンション、戸建て住宅等において、複数で共同生活をする居住の場であり、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための、法律で定められた障害福祉サービス(共同生活援助事業)です。
障害者にとって、親(介護者)亡き後の住まいや生活支援は切実な問題ですが、これまでに高次脳機能障害者(中途障害者)の利用できるグループホームは私たちの地域にあありませんでした。しかし、名古屋以内に「一般社団法人高次脳機能障害ネットワーク・みらい愛知」の開設が予定されています。今後も障害者向けグループホームが、それぞれの地域に開設されることを期待しています。
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